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官庁速報


2008年 5月30日

東京港沿岸の被害22兆円
大規模高潮浸水で国交省が試算

 国土交通省は、交通政策審議会(国交相の諮問機関)港湾分科会の防災・保全部会で、室戸台風クラスの台風で大規模な高潮浸水が東京湾沿岸で発生した場合の一般資産被害額(間接被害除く)の試算結果を示した。東京港では、東京都大田区や江東区を中心に被害が広がり、被害額は最大約22兆円。気候変動による海面上昇や台風の強大化で高潮災害リスクの拡大が懸念される中、同部会は今夏をめどに、リスク軽減に向けた対策の基本的方向性をまとめる。

 「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」の第4次評価報告書は、気候変動で2100年に海面水位が最大59センチ上昇すると予測。国内では、人口・資産が集まる三大湾(東京、伊勢、大阪)のゼロメートル地帯で高潮災害時の浸水危険度が高まると懸念されている。

 同省は今回、1934年に西日本で大規模な高潮被害をもたらした室戸台風クラスの台風が発生し、東京湾奥で潮位が最も高くなるコースを通るケースを想定。地球温暖化による水位上昇を考慮し、最高満潮位の年平均値を現在より60センチ上げて計算した。

 東京港では、防潮堤の決壊や水門の機能停止などが起こる最悪のケースの場合、大田、品川、港、中央、千代田、江東各区の臨海部最大約6000万平方メートルが水に漬かる恐れがある。江東区では浸水の深さが5メートル以上に達する地域も出る可能性がある。

 同区や大田区のゼロメートル地帯で家屋や公共土木施設が大きな被害を受け、一般資産の直接被害額は約22兆円に上る。これとは別に神奈川県沿岸では、一般資産被害額は横浜港で約4.6兆円、川崎港で約1.9兆円、横須賀港で約3000億円となった。

 気候変動に対する港湾政策を検討している防災・保全部会がまとめた中間報告骨子によると、今後は大都市圏臨海部など被害の危険性が高い地域を優先して防潮堤のかさ上げや強度の確保に取り組む方向。短期的には、従来のゼロメートル地帯の高潮対策などを進め、潮位や波浪の観測・監視体制の充実も図る。


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