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官庁速報


2008年 6月23日

非常勤職員の待遇改善
給与月額、高卒初任給と同水準に−指針策定へ・人事院方針

 人事院は、正規の国家公務員との間に賃金格差があり、府省間での給与支給額もばらついている非常勤職員の待遇改善に乗り出す方針を固めた。今夏の人事院勧告に向けてガイドラインを策定し、事務補助職などの非常勤職員について高卒常勤職員(一般職)の初任給相当の約780円を最低時給とし、基準以下の府省には今年度中の引き上げを求める考えだ。

 常勤・非常勤間の待遇格差は近年、官民を問わず課題となっている。職員定数削減などで多忙を極める各府省の業務は非常勤職員なしで成り立たない現状もあり、人事院の方針は同様の問題を抱える独立行政法人や自治体の動向にも影響を及ぼしそうだ。総務省の人事統計報告によると、2007年7月現在で各省庁に在籍する非常勤職員数は事務補助職だけで2万1260人となっている。

 国家公務員の場合、非常勤職員の給与は各府省が予算に応じて決めている。しかし、「常勤職員と同じ職務内容なのに賃金が安い」「府省ごとに給与基準が異なっている」という不満が非常勤職員から上がっていた。また、1日ごとに更新を繰り返し、期間も原則1年限りという雇用形態の不安定さや社会保険の加入制限なども問題視されていた。

 人事院は昨年の給与勧告で非常勤職員の待遇是正と雇用形態の見直しについて言及。これを受けて各府省の人事担当者から非常勤職員の給与・待遇について実態調査を実施。その結果、東京にある府省の多くは一般職の高卒常勤職員の初任給を基にした算定で、非常勤職員の時給をおおむね900〜1100円とし、通勤手当やボーナスも支給していた。

 その半面、通勤手当を支給していない府省や、より給与水準が低い地元民間企業を参考にした時給700円に満たない地方機関のケースなど待遇格差がある実態も判明した。

 このため、ガイドラインには各府省の実態を踏まえ、非常勤職員の最低時給を高卒常勤職員の初任給を基に算定し、通勤手当やボーナスなどの支給も各府省に求める方針だ。

 非常勤職員の待遇をめぐっては、1961年に、常勤化防止のため雇用期間を原則1年間とすることや、契約更新も1日ごとに繰り返すことが閣議決定された。しかし近年、職員定数削減や業務の負担増で常勤職員が本来行うべき仕事まで非常勤職員がこなすケースも多いという。3年間続けて勤務する人もいるという。ある省の幹部は「定数削減が限界に達した証拠だ」と指摘する。

 現場が非常勤職員に依存するのに伴い、不安定な雇用形態、社会保険の加入制限などの問題も浮き彫りになった。人事院は非常勤職員の位置付けについて根本的な再検討を行うことも示唆している。雇用形態や必要となる財源確保などは省庁を横断する課題で、総務省や財務省などを巻き込んだ政府全体での取り組みが課題に浮かびそうだ。


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