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官庁速報


2008年11月 4日

「道路財源から1兆円」、なお不透明
給付金支給で自治体の事務負担増−経済対策

 政府の追加経済対策が30日まとまり、地方支援では自治体が地域活性化に積極的に取り組めるよう、「道路特定財源の一般財源化に際し、1兆円を地方の実情に応じて使用する新たな仕組みを作る」ことなどが盛り込まれた。ただ、その1兆円を、現在、国から地方に配分されている地方道路整備臨時交付金(約7000億円)とは別枠にするかどうかについて、麻生太郎首相は同日の記者会見で明言せず、不透明なままとなった。一方、全世帯対象の総額2兆円規模の定額給付金も、具体的な支給内容や方法の検討はこれから。支給事務については市町村が行うことが想定されているが、10年前に実施された「地域振興券」の交付よりも対象者が多く、年度内の実施が求められるため、負担の増大は避けられない。子育て世帯や高齢者への積み増しなど支給額を変更することに決まれば、より煩雑な作業を強いられそうだ。

◇財源、規模で調整難航
 追加経済対策の目玉の1つである地方支援では、(1)高速道路料金の引き下げなど地域活性化対策(事業費1兆円程度)(2)道路特定財源の一般財源化に際し、1兆円を地方に配分(3)インフラ整備などを後押しする「地域活性化・生活対策臨時交付金」(仮称)を中心とする自治体支援(同6000億円程度)―が盛り込まれた。

 このうち道路特定財源については、「首相の指示は道路整備臨時交付金とは別。7000億円プラス1兆円だ」(政府・与党筋)とされ、鳩山邦夫総務相も30日の政府・与党・経済対策閣僚合同会議の終了後、記者団に「(1兆円は)外(枠)だ」と強調。道路整備に限らず自由に使える財源として、地方交付税で恒久的に配りたいとの意向を示した。また、同日開かれた地方分権改革推進委員会は、国から地方への税源移譲で配分するよう政府に求める方針を決めた。

 ただ、首相自身は「まだ詳細を決めているわけではない。1兆円を地方に、ということが基本だ」と述べるにとどまり、明言を避けた。

 この点について国交省は、「臨時交付金と別枠で道路関係費から1兆円を捻出(ねんしゅつ)する場合、(地方向けの)補助金約6000億円では足りない。直轄事業費を落とすしかないが、そうなると直轄事業が立ち行かなくなる」(某幹部)と難色を示す。また、「単年度だけの措置なら(国の)特別会計の剰余金をかき集めるか、国債を発行すればなんとかなる」(別の幹部)とするが、地方分を1兆円増やす財源として建設国債を増発することには財務省が猛反発。道路特定財源の一般財源化は09年度税制改正作業の中で具体化することになるが、地方への配分規模や財源をめぐる調整は難航が予想される。

◇二重受給防止が必要
 1999年に緊急経済対策の一環として実施された地域振興券の交付は、15歳以下の子どものいる世帯や低所得の高齢者ら約3500万人が対象だった。高齢者に関する支給要件が「老齢福祉年金受給者」「市町村民税非課税で寝たきり」などと細かく区分されていたため、振興券の発行主体となった市町村の事務負担は大きかった。

 今回は年齢や所得による制限を設けず全国民に支給する方向となったため、個人への給付なら約1億2700万人、世帯なら約5200万世帯が対象になる。支給額が一律なら手続きは比較的容易だが、子育て世帯などと他の世帯とで差を付ける場合には、煩雑な作業を強いられそうだ。

 また、転居者については、給付金を転出自治体、転入自治体のどちらで受け取ったかを把握し、「二重給付」を防止するための確認作業も求められそうだ。


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