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官庁速報


2008年 7月31日

BSE検査、全77自治体が継続
20カ月以下の国産牛、国補助終了後も−時事

 国産牛を対象としたBSE(牛海綿状脳症)全頭検査のうち、生後20カ月以下の牛の検査に対する厚生労働省の国庫補助制度が7月末で期限切れとなるが、検査実施中の77地方自治体のすべてが8月以降も自主的に検査を継続する方針であることが、時事通信社の調査で分かった。同省は「安全性は科学的評価によって示されている」として、7月末での検査終了を求めたが、自治体側は消費者の不安や生産・流通現場での混乱防止などを継続の理由に挙げている。

 BSE検査を行う食肉衛生検査所を運営しているのは、44都道府県と、政令市を含めた33市。今後も検査を継続していく理由として、「消費者の不安が払しょくされていない」(岩手県)、「検査打ち切りへの理解が十分得られていない」(兵庫県)など、検査の終了に対する国民の理解が十分に得られていないことを挙げる自治体が多かった。

 また、中国製冷凍ギョーザ事件や食品産地偽装問題などで注目された「食の安心・安全確保」(函館市)が理由に挙がったほか、「生産・流通現場の混乱回避」(山梨県)、「検査を継続する自治体との差別化を懸念」(栃木県)、「ブランドに対する信頼確保のため」(三重県)など、検査を打ち切った場合のデメリットを考慮した回答も多かった。

 このほか、「近隣自治体の継続決定を勘案して」(さいたま市)というように、他の自治体と歩調を合わせる形の回答も複数あった。

 一方、検査継続の期間については、「未定」とした自治体が大半を占めた。また、検査に掛かる2008年度分の費用は100万円未満の自治体が半数以上で、自治体の財政負担が比較的軽いことも検査継続につながったようだ。

 このほか、BSE検査については、「国の責任で全国一律の検査制度にすることが望ましい」(島根県)、「国民への説明責任が不十分」(仙台市)、「すべて国の補助で検査すべきだ」(京都市)といったように、より積極的な国の対応を求める意見が多かった。

 BSE全頭検査は、国内で初めてBSE感染牛が発見された翌月の01年10月から、国の全額補助制度として始まった。欧州などは生後30カ月以上の牛が対象だが、日本では、と畜場で解体される全頭を対象としており、「世界に例を見ないほど厳しい」(厚労省)という。

 05年5月、内閣府の食品安全委員会が生後20カ月以下の牛について「検査をしなくてもリスクは変わらない」と答申。これを受けて同省は同年8月、検査対象牛を生後21カ月以上に限定した。その上で、対象から外れる生後20カ月以下の牛の検査を自治体が自主的に行う場合には、経過措置として今年7月末までの3年間、国庫補助を継続するという省令改正を行った。

 さらに、同省は昨年8月、検査の実施状況が自治体ごとに異なると、「消費者の不安や生産・流通現場に混乱が生じる恐れがある」と判断し、20カ月以下の牛を対象とする検査を今年7月末で一斉に終了するよう関係自治体に通知した。

 同省によると、BSE検査を受けた国産牛のうち、生後20カ月以下の割合は12.5%。自治体に対する07年度の検査費用補助は約16億円で、このうち20カ月以下を対象とした検査への補助金総額は約2億円となっている。

 同省は、20カ月以下の牛に対する検査を「リスクがゼロに近い無駄な検査」(食品安全部)と断じた上で、検査を継続する自治体について、「産地間競争の激化や消費者の反応に配慮してやめられないのだろう。しかし、こうした検査のために住民の税金を使うことがいいのかという議論が必要ではないか」(同)と指摘している。


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