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官庁速報


2008年12月 8日

三セク処理加速へ特例債新設
5年程度の時限措置で−総務省方針

 経営不振に陥った第三セクターなどの処理促進策を検討してきた総務省の「債務調整等に関する調査研究会」(座長・宮脇淳北大公共政策大学院院長)は、第三セクターや地方公社、公営企業の抜本改革を進めるための国の支援策や自治体の取り組みに関する報告書をまとめた。自治体が金融機関との契約に基づき履行しなければならない損失補償をはじめ、第三セクターなどの債務処理で必要となる財源を賄うため、5年程度の時限措置として、特例地方債の発行を認めるよう求めている。

 同省は特例債の対象経費などを検討。来年の通常国会への地方財政法改正案の提出を目指す。年度内に処理策を検討する際の手順や、住民・議会に対する情報開示の在り方を自治体に示す指針もまとめる。

 同省は自治体の財政健全化に向け、経営悪化した第三セクターなどの改革を加速させる方針。しかし、自治体が金融機関に履行を約束した損失補償や債務保証の残高が計8兆6000億円に上り、抜本的な処理が進まない要因になっている。

 報告書は、財政健全化法で自治体が将来負担しなければならない第三セクターなどの負債見込み額の公表が義務付けられたことを踏まえて、自治体に対し、「抜本的な改革を先送りすることなく、早期に取り組み、将来的な財政負担の明確化と計画的な削減に取り組む必要がある」と指摘。その上で同省に対し、自治体が取り組む改革への支援や処理方策に関する指針の策定を要請した。

 改革への支援では、自治体が第三セクターなどの事業の清算や売却、再生に向けた債務処理を進める上で必要となる経費について、特例的に地方債を発行できるよう制度改正を求めた。

 短期間で第三セクターなどの処理を進めるため、特例地方債の発行は最長でも5年程度の時限措置とするほか、自治体のモラルハザード(倫理の欠如)を防ぐ観点から、特例債の対象経費を必要な範囲に絞るよう提言。発行に伴う利子負担の一部を交付税措置の対象とすることも求めている。

 同省は特例債の対象経費として、第三セクターや地方公社では、損失補償などを履行しなければ処理が進まない場合に自治体が履行すべき額などを想定。公営企業では、例えば、清算する際に必要になる財政融資資金の繰り上げ償還などが対象になり得ると考えており、今後詳細を詰める。

 報告書は、同省が指針で自治体に示すべき第三セクターなどの処理に関する考え方も提言している。

 具体的には、自治体が処理策を検討する手順を整理したフローチャートを示した上で、それを参考に第三セクターなどで事業を行う意義や採算性、事業性、事業手法などを検討するよう要請。必要に応じ、外部監査を活用することも求めている。

 特に、(1)損失補償の履行が必要になる可能性が高かったり、損失補償をしていなくても経常収支が赤字か債務超過であったりする第三セクター・地方住宅供給公社(2)長期保有土地を一定以上保有している土地開発公社(3)不採算路線のある地方道路公社―といったところについては、「原則として採算性がないものと判断した上で検討する」よう要請している。

 また、住民や議会に対し、経営責任や経営悪化の原因をはじめ、清算や再生などが最善の選択であると判断した理由、損失補償や債務保証を履行する必要性などについて明らかにするよう提言。処理の際に第三セクターなどの債務を自治体が代わって引き受ける「免責的債務引け受け」や、新たな損失補償契約などは「特別な理由がある場合以外は行うべきではない」としている。

 この点も同省で具体的なケースを検討するが、指針では、既に損失補償契約の対象になっている債務の借り換えに不可欠な場合などを除き、新たな損失補償契約を結ばないよう求めることになりそうだ。


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