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官製ワーキングプアをなくせ!
低価格入札・財政効率化のもとで破壊される労働環境

 3月22日、京都市内で「公契約実態告発交流集会」(京都総評など主催)が開催されました。脇田滋さん(龍谷大学教授)が「働くルールを考える」と題して講演を行い、印刷、測量、学校給食、法務局業務のそれぞれから実態告発が行われました。 「笑顔が足りない」と呼び出されて頭を硬いバインダーや紙筒で50発叩かれる。仕事のミスをしたと、客の目の前で見せしめの膝蹴り。遅刻したからと、監禁してリンチまがいの行為。「仕事をやめる」ことに対し、家まで追っかけて家族の目の前でリンチ。派遣先に謝罪させるために、ぼろぼろになったAくんを強制連行。(首都圏青年ユニオン号外ニュース「派遣は危険?若者をおそう暴力による支配―ヨドバシカメラ暴行事件―」から)
 これは、東京高裁(2006年3月8日判決)が派遣元・派遣先の責任を認め、総額560万円の支払いを命じた通称「ヨドバシカメラ事件」の概要です。
 被害にあったAさんは派遣会社トラスティからDDIポケットへ派遣され、さらにDDIのケータイを売るためにヨドバシカメラへ出社していました。違法な二重派遣の下で、派遣先と派遣元とが一体となっての暴力事件でした。

●氷点下の世界”
 脇田さんは当日の講演のなかでこの事件を取り上げ、1996年には72万人だった派遣労働者が最近では320万人に急増したことが背景にあり、派遣先では“ハケンさん”“グッドさん”と呼ばれるケースも紹介しながら、「“氷点下の世界”で働く派遣労働者の一例」だと指摘しました。
 また、この間、官製ワーキングプアも含めて非正規雇用が急増するなか、年収200万円以下の労働者が1000万人を超えるなど、雇用破壊が進行していると指摘しました。
 脇田さんは、ILO(国際労働機関)の条約や勧告、そして欧米の事例を紹介しながら、日本の現状がいかに異常なものであるかを指摘しました。そしてこの間、政府・財界が一体となってすすめてきた新自由主義路線を厳しく批判しました。
 一方で、特に昨年の参院選を節とした“潮目の変化”を指摘し、この間の世論と運動のなかで偽装請負の摘発や直接常用雇用の進展、派遣法改正の機運がすすんでいることを強調しました。
 最後に脇田さんは“労働組合への期待”として、「非正規労働者の低賃金は世界標準で見て説明がつかないもの。同じ職場で同じ仕事をしていてなぜ賃金が違うのか。もっと声をあげる必要がある」と強調しました。そして、「個々の労働者は“分断政策”によってバラバラにされている。こうしたもとで“個人の問題”をこそ“全体の問題”と位置づけてとりくむ必要がある」と指摘しました。さらに、「組織内部のことだけにとりくむのではなく、地域労働者の労働条件に責任をもってとりくみ、ミニマムを引き上げることが欠かせない」としました。

●京都府も例外ではない
 講演に続いて印刷、測量、学校給食、法務局のそれぞれの業務から実態告発が行われました。「京都市の印刷入札をめぐっては、06年度からの電子入札の導入や、一定の入札改革の一方では、依然として“談合企業グループ”と“ダンピング企業”が存在し、法令を遵守している地元の中小零細企業が困難な立場に立たされている。最低制限価格制度の導入や入札成立要件の整備が急務となっている」(全印総連京都地連)、「低価格競争と低入札に歯止めがかからない。特に京都市では最低落札率が予定価格の3割という状況も生まれている。そのしわ寄せは該当企業の人件費に直結しており、低賃金と労働条件の悪化がすすんでいる」(建交労・建設関連部会)、「低賃金を前提とした学校給食の民間委託がすすめられている」(京都自治労連)、「法務局の登記証明書発行業務が08年度から市場化テストの対象となり、京都では民間企業が予定価格の6割以下で落札。給与が半減し失業とワーキングプアの危機にある」(民事法務協会労働組合)ーなどの告発が続きました。
 京都府においても、入札の現状ひとつをとってみても基本的には同様の実態があります。
 引き続き具体的な告発のとりくみとともに、公契約条例の実現をめざした運動が求められています。
 


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