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府職労ニュース


2008年12月 8日

職員も卒業生も大きなショック
残して≠フ嘆願書も家具工芸科

府立高等技術専門校の科目の縮小

 京都府は、職業能力開発総合センター開設検討委員会の「中間まとめ」を明らかにしました。施設内訓練の大幅縮小、科目再編、受講料の徴収等の内容に、職場では不安と疑問の声があがっています。卒業生にもショックを与えています。

 米国発の金融危機と景気悪化のもとで、新たなワーキングプアの拡大が懸念されます
 昨年NHKで放映された「ワーキングプアV」では、若者に職業訓練と生活費支給、就職できるまで見守るとりくみが国をあげてなされているイギリスの事例が反響をよびました。

 いま、日本では、政府が職業訓練業務を担う雇用・能力機構見直しを進めており、職業能力開発総合大学校などの訓練施設の廃止や民営化が打ち出されるなど、国の職業訓練行政の後退が際だっています。また、都道府県の職業訓練施設も財政難と自治体リストラのなかで、年々、縮小傾向が顕著になっています。

 現在、京都府の高等技術専門校は京都校、福知山校、陶工校、城陽障害者校の4校、22の科で職業訓練が行われています。今回の「中間まとめ」では、福知山校は建築科、土木施工管理科、家具工芸科の3科が廃止されるなど大きな再編となっています。
 家具工芸科は30年の歴史を持ち、近年、全国で、次々にこの部門での訓練が廃止されています。一方で受講希望者は多く、修了生も500人近くが全国で活躍されています。

 家具工芸科がなくなるという「中間まとめ」が出されて、119人の修了生から存続の嘆願書が京都府に提出されました。
 大江町で工房を開設されているKさんは、専門校を修了して20年のベテランです。手づくりの良さが見直され、口コミで家具等の注文が増え全国に作品を発信できるようになったといいます。家具工芸科30年の積み重ねのなかで職業訓練のレベルも上がり、修了生が開く工房も京都でずいぶん増えてきたのに、「全国で木工科の灯が消されるなか、今回の廃止の話はさみしい限り、このままつぶしてしまっていいのか。実績をいかし新たな産業を興すぐらいの気概があってもいいのでは」と語ります。

 建築科も昭和20年からの歴史があり、1年で家が建てられるところまで教えるという高い水準の訓練がされています。
 「福知山の建築科がなくなるということは廃止と同じ。土木管理の仕事は北部でも一大産業」「産業ニーズばかりが強調されるが、建築や土木施工管理という仕事は、日本や京都では必要なくなったのか。どう仕事を興していくのかが大事ではないか」という声も寄せられています。

 また、この間、分会は、指導員の採用を求める強い要求を毎年のようにあげていますが、長い間正規職員は採用されず非正規の指導員で訓練業務が担われている現実もあります。
 受講料の徴収の方針に対しても、離職者や転職者などの受講者も減るのではないか、いまの時期に受講者のハードルをあげることがいいのかという問題もあります。

 「時代の流れのなかで見直しは必要だが、今回の科目の再編にあたって、一番現場をよく知る職員の議論や検討が十分されていない」と検討のすすめ方への疑問も広がっています。

 金融危機で実体経済の重要性がいわれています。地域産業や雇用を基礎に地域経済を振興する上で、高等技術専門校の充実・発展は欠かせません。


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