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府職労ニュース


2008年10月22日

給与改定見送り、通勤手当(交通用具使用者)引き下げ
08京都府人勧の府職労見解

勤務時間短縮と非常勤職員の勤務条件改善に言及

 京都府人事委員会は、 10月14日、 「職員の給与等に関する報告及び勧告」 を知事と府議会議長に提出した。 その特徴は、 @給料表と一時金の改定を見送ったこと、 A交通用具使用者の通勤手当の引き下げを勧告したこと、 B勤務時間を1日15分 (1週間1時間15分) 短縮することが適当としたこと、 C非常勤職員の給与等の勤務条件改善について昨年に引き続き言及したこと、 などである。

■春闘結果を反映しない政治的勧告賃金抑制・削減の政策の転換こそ
 給与部分では、 公民較差が89円・0・02% (管理職員の給料月額カット措置を含めた較差は949円・0・22%) と僅少なため給料表の改定を見送るとともに、 一時金も民調結果は公務と概ね均衡しているとして、 改定が見送られた。
 今年の春闘賃上げ結果は、 わずかながら昨年を上回るとともに、 「格差と貧困」 の是正を求める世論を背景に08年度の最低賃金が全都道府県で引き上げられた。
 春闘相場などからみても昨年並みのベア引き上げは当然であるにもかかわらず、 給料表と一時金の改定が見送られたことは、 原油など急激な物価高騰による生活悪化をふまえた賃金改善を求めてきた私たちの願いに背く不当な勧告だと言わざるを得ない。

■通勤手当改悪は、 内容でも、 すすめ方でも重大で異常
 交通用具使用者の通勤手当について、 2q以上3q未満の基礎額を2、 600円に引き下げるとともに、 自転車の加算措置を廃止し、 通勤回数に応じて減ずると勧告したことは、 その内容でも、 すすめ方の上でも重大な問題を持っている。 今年突然、 府職員の通勤実態を踏まえず、 「均衡論」 の立場でのみ、 大きな変更と負担を強いる勧告をした京都府人事委員会に対し、 強く抗議するものである。
 私たちは、 通勤手当は実費弁償が基本であり、 地方機関の統廃合などにより長距離通勤を余儀なくされている職員がガソリンなど燃料価格の高騰によって 「走れば走るだけ赤字」 となっている実態を改善せよと強く要求してきた。 にもかかわらず、 人事委員会が今年春までの府内民間との比較だけにもとづき、 大幅にこれを引き下げたことは、 ▽職員の生活に激変をもたらす、 ▽ガソリン高騰等の社会状況に逆行、 ▽長距離通勤者にさらなる経済的負担を強いる、 ▽自転車通勤者の地球環境保護への努力に水を差すなどの理由から、 到底容認できるものではない。
 手続き的にも、 重大な問題をもっていると指摘せざるをえない。 これだけ大きな見直しを、 昨年の07勧告では具体的に言及せず、 十分な議論もなく今年の勧告で突然言及したことは、 国の人勧が2年続けて検討方向を示すにとどめた住居手当の取扱いや、 人事委員会自身が今年、 明確に官民較差が存在する勤務時間を 「報告」 にとどめたこととの比較でも、 突出した異常なすすめ方である。
 また、 10月7日の府人事委員長との懇談の際にも具体的な基準額の水準については明らかにせず、 自転車の加算措置の廃止や支給限度額の引き下げについても交渉の際に触れることなく、 突然、 勧告したことは信義にも反する重大問題である。
 府職労は、 内容でもすすめ方でも重大な問題をもった通勤手当の勧告を行った人事委員会に抗議する。 そして人事当局に対し、 重大な問題を持つ勧告の取扱いについて、 実施しないこと、 駐車場・駐輪場代の加算制度の新設、 高速道路利用の要件緩和などの措置の改善、 また長距離通勤の原因である人事異動政策の転換を求め、 年末確定交渉での要求前進に全力をあげるものである。


■ただちに7時間45分への勤務時間短縮の実施を
 勤務時間について、 国・他府県の実施状況に留意しながら、 行政サービス・行政コストに影響を与えることのないよう所要の準備を整えた上で、 1日7時間45分、 1週間38時間45分に短縮することが適当と 「報告」 で言及した。
 勤務時間を 「短縮することが適当」 としたことは当然であるが、 数年間にわたり民間との較差が歴然としてあり、 人事院が 「勧告」 で触れているにもかかわらず、 「報告」 での言及にとどめたことは重大な問題である。
 府職労は、 いずれにしても短縮について言及された以上、 「限界職場」 という職場実態のもとで、 労働密度を高めたり不払残業を増加させることなく、 総労働時間短縮の趣旨ふまえて、 職員が安心して府民本位の仕事ができる職場をつくるために、 当局がただちに7時間45分への勤務時間短縮を実施するよう求めるものである。


■非常勤職員の勤務条件改善へ昨年に続き言及
 非常勤職員の給与等の勤務条件について、 人事院や総務省における非常勤職員の任用の在り方等に関する検討状況等に留意しつつ、 非常勤職員の職務の実態を踏まえながら、 引き続き検討が必要と昨年に続いて言及した。
 私たちは非正規労働者の劣悪な勤務条件の改善を求めて最低賃金引き上げ、 労働法制の改善、 公契約の締結など 「働くルール」 の確立を求めてきた。 とりわけ 「官製ワーキングプア」 といわれる実態の改善のために京都府に働く臨時職員・嘱託職員のみなさんの切実な要求に基づき勤務条件の改善を求めてきた。
 今回の内容は、 9月定例議会での 「非常勤職員の勤務条件の改善に向けて検討を進めていきたい」 との知事答弁ともあわせて、 たたたかいの到達点であり、 引き続き年末確定闘争において非常勤職員の勤務条件の抜本的改善に向けて全力をあげるものである。


■時短・健康管理・仕事と育児等の両立支援に言及
 職員の勤務条件に関わっては、 われわれのたたかいを反映し、 いくつかの改善に向けての言及もされている。
 総実勤務時間の短縮については、 管理職員の果たす役割の重要性を強調し 「適正な勤務時間管理と業務管理の両面から、 職員の始業・終業時刻、 休暇取得、 業務負担の度合い等の実態を適切に把握するとともに、 業務内容や執行体制の見直し等による効率的な業務運営を実行していく必要がある」 としている。
 健康管理とりわけメンタルヘルス対策についても、 管理職員の果たす役割の重要性を強調し 「個々の職員の心の健康状態に注意し、 その状態に応じた対応を行う必要があることを十分に認識し、 制度を活用しながら適切に対応していく」 必要があるとしている。
 仕事と育児等の両立支援では、 「 (男性職員の) 育児等への参画についての職員の理解を一層深めるとともに、 職員がその希望する両立支援制度を利用しやすい環境の整備を進める必要がある」 とされた。


■職場のすみずみから要求を結集し、 年末確定交渉に全力をあげよう
 私たちは、 この間、 京都府人事委員会に対し、 要求署名や交渉、 学習会、 支部での緊急申し入れなど従来にないとりくみをすすめてきた。
 特に要求署名の取り組みでは多くの支部で組合員数を超える署名が寄せられ、 最終局面では7つの支部が通勤手当問題で当局への緊急申し入れを行い、 部局の当局が人事委員会に出向き、 現場の職員の声として上申したことは、 確信とすべきである。 そうした人事委員会への取り組みにご協力いただいたみなさんに、 改めて敬意を表するものである。
 いま府政は、 破綻が明らかになった新自由主義と構造 「改革」 路線にしがみつき、 「新しい行政経営改革プラン」 の策定など 「府政改革」 を強引にすすめようとしている。 職場には賃金・労働条件・仕事のすすめ方・府政のあり方などの不安や要求が渦巻いている。
 府職労は、 京都府に働く全ての労働者の要求の前進をめざして年末確定闘争に全力をあげるととも、 憲法と地方自治を守り、 「貧困と格差」 の解消、 総選挙勝利をめざして奮闘するものである。
       


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