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費用は以前より割高に
京丹後市の給食調理業務

●「違法性を承知」で委託会社−広島県安芸高田市
 広島県の安芸高田市は2005年から市の臨時職員を委託会社に移籍させ、業務委託契約をむすんでそれまでと同じ職場で働かせています。委託会社は、市が100%出資する「財団法人安芸高田市地域振興事業団」と大新東ヒューマンサービス株式会社です。
 自治労連の調査団に対して同市の担当者は、市職員と委託会社社員が混在する職場について「適法性に疑義があることは承知している」と語っています。委託社員が市側の指揮命令を受けるという偽装請負の現状を認識しているのです。
 具体例としてあげられたのは保育所です。
 市職員と委託社員は別々のクラスを担当し、クラス内で混在することは一応避けている、という。しかし、休暇などの調整や運動会をはじめとする行事、職員会議は一緒に行っています。園長の指揮命令のもとに保育業務を行っている実態があるわけです。
 一方、委託社員の健康管理責任は委託会社側にあるため、健康診断や検便結果について園長が把握できない問題点も。伝染性などの病気発生に適切な対処が求められる保育園。園長が保育士の健康管理に責任を持てない状態では、園児たちの安全も守れなくなります。
 違法性を認識している同市は今後、派遣への切り替えも検討していることを調査団に明らかにしました。しかし、派遣に切り替えれば済む話なのか。調査団は「派遣に切り替えても3年後には直接雇用の問題に直面します。先のことまで考えた発言とは思えない」と指摘、根本的な解決にはほど遠いとみています。

●派遣法を無視−京都府京丹後市
 最初から派遣で対応しようというのが京都府の京丹後市。100%出資会社の「京丹後市総合サービス株式会社」に学校・保育園の給食業務に携わってきた臨時職員を移籍させ、派遣で受け入れるやり方です。 調査団が訪問したのは今年1月で、同市は4月からの実施に向け準備を進めている最中でした。
 派遣であれば労働者派遣法を守る必要があります。この点で調査団は「(1年を超えて)専門職派遣以外の派遣を受け入れる場合は職場の過半数組合か過半数代表者の意見聴取義務がある」と述べ、意見聴取を行ったのかどうかを質問。市側は検討していない、と答えています。罰則がなければやらなくてもいいという姿勢のようです。
 派遣受け入れから最長3年で直接雇用の問題が生じます。その際、同市は直接雇用はせずに「業務委託に切り替える」方針だという。直接雇用の申し込み義務を果たす気があるのかどうかは別にして、委託に変えれば今度は「偽装請負」になる事態が懸念されます。
 給食調理にかかわる機材や設備は市の所有で、請負事業者のものではない。しかも、調理員は市職員である栄養士らの指示を受けて働く形になるためです。
 調査団は「本来、臨時的・一時的でない給食調理業務に派遣を受け入れることは困難」と強調します。

●派遣で消費税が発生
 もう一つ問題があります。
 臨時職員を派遣に切り替えても賃金は下げないとの方針。しかし、新たに事務所運営費438万円、消費税1800万円などの経費が発生します。その合計は約3300万円。そして派遣会社設立のための出資金2000万円を負担したうえに、今後も毎年これだけの出費が続くのです。
 調査団は「極めて経済合理性、財政上の合理性に欠ける計画だ」と指摘。今後はこうした経費を補う方法として給与の引き下げも懸念されると指摘します。
 給食調理など自治体には派遣になじまない業務が少なくない。自治労連は自治体職場を派遣法の適用除外とするよう要求していく考えを明らかにしています。


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