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いまも世界に2万7000発の核兵器
被爆62周年 怒り広がる「久間発言」

核戦争5分前

 1945年、人類史上初の核兵器=原子爆弾が広島と長崎に落とされました。広島では14万人以上、長崎では8万人以上の命が一瞬にして奪われました。
 それから62年。いま世界中には約2万7000発もの核兵器があります。すべてを使うなら、人類を何度も絶滅させることが可能な破壊力です。核保有国は、米国とロシアを筆頭にした5大国だけではありません。インドやパキスタンなど第三世界にも核兵器の保有・開発が拡大。北朝鮮も「核保有」を宣言するなど、核拡散による脅威が世界中に広がっています。

 米国の核戦略はいま、核保有国に対してはもちろん、非核保有国に対しての核先制攻撃すら容認していることが明らかになっています。核兵器を通常兵器と区別するのではなく、 戦闘で実際に使っていくため、核兵器の小型化も研究が進められています。
 米国の科学専門誌「ブリティン・オブ・ジ・アトミック・サイエンティスト」は07年1月、世界終末時計(核戦争による世界の終わりまでの残り時間を象徴的に示すもの)を5分前と発表しました。5年前よりも2分間終末に近づきました。同誌は理由として、米国とロシアが大量の核兵器を持ち続けていることに加えて、イランによる核兵器開発疑惑、北朝鮮による核実験をあげています。

アメリカの原爆投下 人体実験の疑いも

 7月3日に辞任した久間防衛相が「しょうがなかった」と発言した広島・長崎への原爆投下。しかし、これまでの歴史研究は、原爆投下が戦後の対ソ戦略であるばかりか、核兵器の人的被害を調べるための実験であったことを明らかにしています。
 その証拠の一つが、原爆が投下された広島、長崎だけでなく、投下候補地になっていた京都・横浜・小倉などがいずれも空襲被害の少ない地域だったということ。原爆の効果を検証するため、候補地に決定された後は、意図的に空襲を避けたと指摘されています。

 また、防空壕から人をおびき出すために、爆撃機が反転して戻ってきたとの指摘もあります。「爆撃機がいったん広島上空を飛んで警戒警報を出させ、ついで飛び去り、警報が解除になり人々が防空壕から出て、リラックスしたその瞬間を狙って爆弾を炸裂させた」(若木重敏著『原爆機反転す』)。
 そもそも、広島にウラン型原爆を投下した後、日本に降伏する暇を与えず、わずか3日後に長崎にプルトニウム型原爆を落としたのは、異なるタイプの原爆の威力を比較する目的でした。「長崎への投下に至っては、全く不必要で実験以外のなにものでもなかった」(日本被団協)のです。

 米国の公式説明は「戦争を早期終結させるためだった」です。しかしこれに対して、アイゼンハワー司令官など当時の多くの米軍幹部が「戦争を終わらせるのに、原爆はまったく必要ない」と考えていたことも明らかにされています。

「し「しょうがない」発言だけじゃない安倍好核内閣

 久間章生防衛相が米国の原爆投下を「しょうがない」と述べ辞任に追い込まれました。 発言の背景には、安倍内閣全体が核兵器容認姿勢だという根本問題が横たわっています。
●内閣の8人が核武装検討に賛成
 昨年秋、北朝鮮が核保有を発表した後、自民党の中川昭一政調会長は核武装の検討論を提起しました。この発言を麻生太郎外相が支持。国内外で大きな批判を受けました。
実は核保有については安倍首相自身が積極的な姿勢を繰り返してきました。小泉内閣の官房副長官時代には「戦術核の使用は違憲ではない」と大学で講演。国会でも「核兵器保有は憲法の禁ずるところではない」(02年5月)と答弁していました。

 首相になった後は、昨年の臨時国会で「核保有という選択肢は一切ない」と答弁し、非核三原則(持たず、つくらず、持ち込ませず)を守る姿勢を示しました。しかし、一方で中川氏や麻生氏の核武装検討発言を「議論は自由」と擁護。さらに、毎日新聞社のアンケート(03年11月)に「将来の核武装を検討するべき」と答えた閣僚・副大臣らが安倍内閣には8人も(安倍首相も含む)。安倍首相の本音がいまだに核武装容認である疑いは濃厚です。


 久間もと防衛大臣の後任になった小池百合子新防衛大臣も核武装論者。2003年の毎日新聞のインタビューに答え「国際情勢によって検討すべき」と述べています。
世界が日本に疑いの眼

 日本の核武装にかんして、世界が疑いの眼を向け始めています。
 昨年秋から今年にかけて、欧米のメディアが相次いで「日本政府はいずれ核を保有する可能性を排除していない」などの記事を掲載。米議会や情報機関が、日本の核開発の可能性を示唆する報告書をまとめました。

 昨年暮れに来日した国際原子力機関(IAEA)のエルバラダイ事務局長は、「唯一の被爆国である日本は、核の倫理を語る責任がある」とした上で、次のように警告しました。「日本が核兵器を得ようとすれば、韓国や台湾をはじめ、アジアのすべての国(の核保有)を心配しなければならなくなる。それは文明の終わりの始まりだ」

 歴代政府の見解は「自衛のための必要最小限度であれば、核兵器保有は憲法に禁止されていない」。その一方で「非核三原則を遵守する」として、核保有を否定してきました。
 しかし、米艦船による日本への核持ち込みを容認した「密約」の存在が米公文書によって明らかになるなど、政府が本当に非核三原則を遵守しているかには疑問が出されています。
 また、 1996年に国際司法裁判所が「核兵器による威嚇とその使用は国際法違反」と勧告しました。しかし、日本政府は「核使用は必ずしも違法とはいえない」。核兵器廃絶に向けた動きにも背を向ける態度です。


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