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府職労ニュース

はじめに職員定数削減ありき

非正規職員をいっそう拡大

06年の府庁の組織・定数を提示

誰もが仕事に誇りと意欲をもって健康に働ける体制確立を
 京都府当局は5月8日、府職労に対し、平成18年度組織「改正」・定数が提示しました。府職員の生活に大きな影響を及ぼす人事異動を目前にした提示と言う、組織運営上の基本的な問題とともに、今回の組織「改正」・定数は、「5年間で1500人を削減する給与費プログラム」の初年度にあたるもので、今後に連動する大きな問題が含まれています。
 府当局の提示に対し府職労として、@職場への説明責任を果たすこと、A異動にかかる再ヒアリングの実施を求めました。当局は「きちんと対応する」と回答しましたが、府民の暮らしを守る府政のあり方、仕事に誇りと意欲をもって健康に働ける体制はどうあるべきか、職場からの議論が求められています。今年の組織・定数の特徴を見ると・・・

本庁組織の再編を視野に入れた組織「改正」
今回の組織「改正」では、「平成19年度の本庁組織の再編」を視野にいれたいくつかの特徴が見られます。第一は、健康・長寿の京都づくりプロジェクトなど、兼務発令を伴う組織運営の方向が引き続き強化されたことです。合計17プロジェクトとなりました。第二は、保健福祉部での「総務担当業務の総括室長付担当への移管」です。第三に、府大学推進プロジェクトを「室」に格上げし、府立大学の「改革」を強引に進めようとしています。
なお、今回の組織改正では、福利厚生室が廃止になり、その業務が職員総務室に移管される内容になっており、その結果、福利厚生室所属の職員全員が、管理職の範囲に指定されるおそれがあります。そもそも、管理職員の範囲は、純粋に労使関係上の概念でとらえられるべきものです。事務分掌を恣意的に決めることによって、職員総務室・人事室・給与室の主事までもを管理職員の範囲に含み、団結権を一方的に破壊する京都府の例は、全国的にみても異常です。府職労として、昨年、人事委員会に対し、「管理職員の範囲の見直し」を求めたところですが、管理職員の範囲の拡大を行わず、直接の労使関係に限定したものとすることを改めて要求するものです。


はじめに削減ありきの定数配分
 定数配分では、総務部48人、知事直轄組織14人をはじめ知事部局で129人の削減を行う内容になっています(内、現業関係が14人)。教育庁では3人削減との内容です。当局は、これ以外に、指定管理者制度の導入にともなう派遣からの引き上げ約80人、他任命権者の事務部門での削減を含め、「5年間で1500人を削減する給与費プログラムの初年度の数は、約200人である」と説明しています。
 当局は、削減の多くは内部管理部門の事務事業の見直しという説明をしていますが、これまでも庶務業務の集約等で相当規模の見直しを行ってきたことに加えての今回の削減提示は、仕事のあり方や労働条件の問題、府民サービスの点でも大きな問題があり、給与費プログラムの目標達成のための、「はじめに削減ありき」と指摘せざるを得ません。


総務部・知事直轄組織が突出
 削減は、総務省出身者が部長を務める総務部が48人、組織運営の中心的役割を担う知事直轄組織が14人と突出しています。知事は今年の新年挨拶で、「組織のフラット化は各部局の責任で実施したもの」と述べ、職場で起きている混乱を各部局長の責任に転嫁しましたが、今回の定数配分での総務部と知事直轄組織の突出をみると、これまでまがりなりにも一定の考え方のもとに人員配置を行ってきた人事当局としての責任が果たせているのか、各部局長の給与費プログラム具体化競争・人減らしの成績争いに道を開くおそれがあるとの問題を指摘せざるを得ません。
 府職労本部は削減提示があった職場の時間外労働の実態を示すことを要求しましたが、職場実態をふまえた検討が必要です。人員、給与の問題は、勤務条件に係る問題であり、府職労との交渉・合意を前提にした必要な見直しを行うことを求めるものです。


電子府庁のあり方の見直しを
 今回の定数削減の理由として、庶務業務・財務電算業務・文書事務の電算化など、電子府庁関連が根拠として説明されています。しかし、この4月から本格実施された電子決裁業務では職場で混乱が起き、「支援システムどころか、遅延システムだ」との声が生まれる実態にあります。電子府庁の全体構想や内容が充分示されず、また、職場での検討、検証を保障しないやり方は全国的に見ても異常です。電子府庁については、全体構想と内容をただちに明らかにし、労働組合との協議、職員合意の上ですすめることを要求するものです。

コスト論に基づく「非正規雇用労働者への置き換え」は問題
 定数減とされた職場の多くでは、一方で執行体制の確保のためとして嘱託や臨時職員の配置が提示されています。「事務事業の点検・見直し」を理由にした定数削減が、業務量の減少によるものでなく、その本質が、何が何でも正規職員を削減し、非正規雇用労働者に置き換えるものであると言わざるを得ません。
 今、日本の非正規雇用労働者は、極端な低賃金、差別、無権利な状態のもとで働かされています。低賃金・無権利の非正規雇用労働者の急増が、格差社会と貧困の新たな広がりを作りだす根源になっており、所得格差が少子化を加速させる要因にもなっています。総務部長は「京都府は非正規雇用労働者が少なすぎる」と言っているようですが、均等待遇の原則が確立していないもとで、一層の格差拡大につながる非正規雇用労働者の増大を京都府が行ってはなりません。改めて、府政運営に必要な正規職員の配置を求めるとともに、非正規雇用で働く仲間の均等待遇を求めるものです。


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