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 京都府職労、京都市職労など6団体で構成する「構造計算書偽造問題を考える会」と大阪自治労連の建築関係職場連絡会とは、国土交通大臣に対して「国民の安全・安心を保障する建築行政・建築士制度を構築するための要求書」を提出。9月13日に同省の担当職員と懇談を実施し、改善を申し入れました。

 大阪自治労連は昨年の耐震強度偽装事件の発覚後、建築関係職場連絡会を結成。大阪府下の建築確認検査の9割が民間に移行し、自治体の建築行政の体制が人員減や専門性の低下など脆弱化している実態を明らかにし、改善させるために討議を重ね、独自の政策提言も発表してきました。

 京都では「構造計算書偽装問題を考える会」(代表 片方信也・日本福祉大学教授。京都市職労、京都府職労土木建築部会をはじめ官民の建築関係の労組・団体で構成)を結成し、建築確認検査の実態調査や建築関係者を対象にしたアンケートを実施するなど改善に向けた取り組みをすすめてきました。
 今回の国土交通省への要請と懇談は、全国でも建築確認検査の民間開放が極度に進行している大阪と京都の建築行政の実態を示し、改善に向けて直接の意見交換を行うために実施したものです。懇談には大阪自治労連から4名、京都から2名が要請団として出席し、国土交通省から住宅局建築指導課の3名が対応しました。

 要請に対して冒頭、国土交通省側は「建築確認検査の民間開放そのものには問題はないと考える」など、8月末に出された同省社会資本整備審議会答申「建築物の安全性確保のための建築行政のあり方について」をベースにした考え方を示しました。
 これに対し要請団は、「大阪や京都では急激な民間開放によって全国平均を上回る9割以上の確認検査が民間機関に移行している。行政内部での専門性の維持が困難な状態にあり、体制を整備するために一定割合の確認検査を行政に確保する必要がある」「ある住宅メーカーの確認処分が特定の民間機関に集中している」「市場競争のもとにある民間機関の公正中立性については大変な疑念がある」「建築主の利益を守るはずの工事監理制度が未だ確立されていない」など、現場の具体的な事例やデータを示しながら問題点を指摘。「公共性・専門性を発揮できるように建築行政を建て直すこと」「確認検査の公正・中立性を確保すること」「建築士の独立性と工事監理の確立をはかること」の3点を中心に、今後の法改正等に要求を反映するよう求めていきました。

 これに対し国土交通省側は、建築行政の体制整備について、「(行政の確認検査件数が減少して)年間数10件を扱うだけで専門性や能力を維持することには限界がある」「大阪や京都のようにこれだけ(民間に)シフトしてしまうと不安はある。私見だが行政庁として権限を行使して民間機関に毎月恒常的に立ち入ることも考えてよいのでないか」「(建築確認検査も)行政側でもう一回確認し直すなどしながら、行政内部で確認の現場をつくっていく必要もある」「民間機関を指導監督する部門を行政内部に設けることについては各自治体の判断にまかせるしかないが、大阪や京都の場合では、ありうることだと思う」と述べるなど、民間開放がもたらしている問題を一定認識する姿勢を示しました。

 要請団からは「自治体の現場でおこっている民間開放の問題を重く受け止めてほしい。国土交通省としても直接、現場を調査し、今後の建築行政の改善に生かしてほしい」と強調し、懇談を終えました。
 京都の「構造計算書偽造問題を考える会」と大阪自治労連・建築関係職場連絡会とは、今後も関西における建築確認検査の問題を取り上げ、改善に向けた取り組みを連携して進めていくことにしています。



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