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府職労ニュース


2010年 9月17日

府民からは機械的な移管に“自殺まで考えた”
地方税機構を考える交流集会

職員からは〝仕事の組織になっていない〟

 9月1日(南部)、2日(北部)と「第3回府民の立場から地方税機構を考える交流集会」が開催され、発足後1年を経過した京都地方税機構の現状と問題点について意見交換が行われました。集会では「仕事の組織になっていない」などの職場から見た実態がリアルに語られるとともに、議会8月定例会で改めて浮き彫りになった機構の問題点が報告されました。

●これまでの分納が認められない

 集会に参加した府民からは、「大学を卒業したが就職できていない。月12万円のアルバイト生活なので国保税が払えない。月2000円の分納ではダメだと言われ困っている」、「固定資産税が払えず地方税機構送りになり、自己破産の申請手続中」、「障害者で年金のみの収入。機構に相談に行ったら家を差し押さえることになると言われ、借金をして払った。生活実態を考慮して欲しい」などの切実な発言がありました。

 京都地方税機構事務局が明らかにした資料では、地方税機構に今年1月から6月までに移管された滞納額は約197億3千万円、うち収納額は19億7千万円、6月末の滞納者は9万6150人となっています。

 宇治市では、「事情があり納税が困難な人は相談下さい」と、事情を考慮した体制ができていますが、地方税機構と構成団体(京都府及び府内25市町村〈京都市を除く〉)との間で、「全ての滞納案件は地方税機構に移管する」との合意ができているため、宇治市を除いては自動的に「地方税機構」送りとなっています。
 こうした下で、「これまで分納計画に基づいて毎月5万円を分納してきたが、移管後は『毎月40万円払うように』と言われ途方に暮れている。自殺まで考えた」、「生活保護受給中の滞納者に差押通知がきた」、「納付期限が近づいたので市に『納税猶予』の相談に行ったが『受け付けられない』の一点張りだった」、「分納相談は地方税機構でやってください、と言われた」などの事例が発生しています。

●トップダウンのつけが集中

 地方税機構の職員からは、職場から見た組織の実態がリアルに語られました。①仕事の組織になっていない。何事も準備不足のまま強行したので当初は事務用品も無い、釣り銭も無いなど現場に矛盾と困難が集中した。納税者にも迷惑をかけたこと、②業務の統一性が無い。業務開始時に、徴収業務要領がないため滞納整理のすすめ方もバラバラで、それぞれが派遣元のやり方で行っていた。やっと8月3日に基本方針が出されたこと、③納税相談に対応するためのデータが不足している。納税者から課税内容について聞かれても、その都度、構成団体に問い合わせている。ワンストップサービスになっていないし、市町村との意思疎通も十分でないこと、④納税者の立場に立った仕事、そして「滞納処分の執行停止」基準の作成が急がれること、⑤資力が無くても課税されることがある国保税(料)や固定資産税は課税段階での減免措置や猶予措置が必要である。課税の問題点として何らかの運動が必要であること、⑥執務環境も最悪で納税相談室が無い、会議室が無い、休憩室が無いなど仕事ができる環境でなかった、全てはトップダウンで進められた結果が今日の事態を招いていること、などの今日に至るまでの職場実態がリアルに語られました。

●議会でも問題点が浮き彫りに

 集会では、京都地方税機構議会8月定例会の論戦で明らかになった問題点を、前窪義由紀地方税議会議員(日本共産党京都府会議員)が報告しました。
 前窪議員は8月定例会において、①生活保護受給者や生活困窮者、分納者も含め全ての滞納案件の移管を前提とする地方税機構の滞納整理のあり方について、②構成団体と約束した分納計画も反故にされる業務のあり方について、③京都府が作成していた「滞納処分の執行停止」基準を、地方税機構が未だに作成していないことについて、④ローンを組んでまで納付をさせることに繋がるクレジット納税導入を検討していることについて、⑤自治体の課税権にまで踏み込む課税業務の共同化システム開発をすすめていることについて、⑥職員の命の危険に関わる地方税機構事務局の異常超勤について、具体例を挙げて追及し改善を求めたことを報告しました。

●納税者の立場に立った仕事がしたい

 8月5日に開催された京都地方税機構議会8月定例会では、地方税機構連合長(京都府知事)は「構成市町村との連携はスムーズだ。大変な移行期間を無難に乗り切った」と発足1年を振り返りましたが、本当にそうでしょうか。
 この間、全国の自治体では課税と徴収の強化がはかられ、自治体職場と住民との「対立」関係がつくられ、「住民税の滞納を理由に年金を差し押さえられ、餓死をした納税者を不動産業者が発見」、「生活口座の預金を機械的に全額差押えられ、生活困窮におちいって焼身自殺をはかった」などの痛ましい事件が発生しています。

 まだ、京都地方税機構ではこうした事例は起こっていませんが、危険性が無いとは言い切れない現状があります。
 集会では、①地方税機構に納税者の立場に立った業務運営を行うことを求めるとりくみをすすめること、②国や自治体に納税者の権利を守るための方策を求めること、③引き続きこうした集会を開催することを確認しあいました。