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府職労ニュース


2010年11月16日

野生動物と共生できる持続可能な森林づくりを
京都の鳥獣問題を考えるつどい開く

京都府有害鳥獣問題研究会

 「京都の鳥獣問題を考える集い」(主催:京都府有害鳥獣問題研究会)が11月6日、京都市内で開催されました。この〝集い〟には、府下各地から50人が参加し、有害鳥獣問題の考え方の基本について学ぶとともに、その対策について意見交流がおこなわれました。

●シカの人為的管理対策が大切

 集いは、京都府有害鳥獣問題研究会の上島裕代表の開会あいさつで始まり、基調報告と京大芦生研究林での現地調査と四国のシカによる森林被害の実態の報告後、京都府鳥獣保護・自然保護部会部会長である京都精華大学理学博士村上興正氏によるシカの管理と保護についての講演と霊長類研究者で同志社大学の元教授西邨顕達氏の府下の猿の生態と猿害対策についての報告があり、京都府猟友会の奥田定雄会長から狩猟の実態と共産党府議団事務局の桝井事務局次長から府下の鳥獣被害の実態について発言がありました。

 講演の中で村上氏は、シカは繁殖力が極めて強い一方、自己調整能力が弱く、かつ群れをなし、移動性が高いため、林業被害や植生被害を激増させるので人為的な管理が必要であること。シカの個体数増大の原因として狩猟の減少や暖冬による死亡率の低下、戦後の植林による下草(餌)の増加等が考えられること。対策として、個体数の精確な調査に基づく、雌ジカの駆除と保護区も対象とした駆除による個体数管理をあげられ、政策転換が必要であることを指摘、同時に、野生動物が共生できる持続可能な森林づくりが求められていることが強調されました。

●サルの一斉捕獲・近づけない対応を

 その後、村上興正氏、西邨顕達氏、上島裕代表3人を囲んでの質疑と意見交流では、狩猟と有害鳥獣駆除のあり方や猿害の実態と対策などについて質疑と意見交換が行われました。

 その中で、趣味である狩猟に公共的事業の有害鳥獣駆除と個体数管理を任せることには無理があること、府南部の猿害対策では西邨氏から、サルの正確な生態調査に基づく一斉捕獲・駆除とサルに餌場とみなされないよう畑等の周囲に防護柵やサルが嫌う作物を植えるなど、近づけなくすることが大事であることが話されました。

 村上氏は、ワナによる捕獲の有害獣集団への効果は薄い。銃による駆除が有効(サルが近づかなくなる。シカも同様)であるが、ハンターはヒトに近いサルを撃つことを嫌うと話されて、有害鳥獣駆除を趣味の狩猟に負わせることの問題を指摘しました。

●被害の現地実態調査への参加を

 今後の会の活動として、この問題に関心を持つ府民の皆さんとの意見交流と科学的見地にもとづく対策づくりに向けて、クマ、イノシシ、サルによる被害の現地実態調査を行い、報告会を開催する予定です。府下の中山間部の農村では有害鳥獣による被害が深刻となるなかで、これが廃村への最後の一撃となるのではと心配する声がでています。研究会の行動に府民のいのちと暮らし・経営を守る府職員が多数参加され、対策づくりに活躍されることが期待されています。