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府職労ニュース


2010年12月 2日

運動でつくってきた非常勤職員の待遇改善
非常勤職員の実態や法的問題など川西玲子さんが報告

国際的には当たり前のルールが日本では非常識

 府職労連嘱託職員の集いで、自治労連近畿ブロック組織強化・拡大支援者の川西玲子さんが、自治体の非常勤職員の実態や法的問題、運動の方向などお話いただきました。

●雇用形態では身分による差別

 自らの学童指導員としての経験の中で、「育児休暇が適用されない。非正規の子はお腹の中から差別されるの?」「忌引き休暇がない。非常勤も葬式はするんです」という仲間の声、そして25年働いた先輩を腕時計1個で見送った無念が活動の原点になっています。現在の非正規労働者の問題を「雇用形態による格差でなく、身分による差別」と見るべきです。

 雇用の不安、賃金や仕事をする上での様々な差別、手当が支給されない等の非常勤職員の問題が、地方公務員法3条3項3号で規定される特別職の「審議会委員、行政委員会委員など恒常的でない職、常時勤務する必要のない職、職業的公務員でない職」にとてもあてはまらない実態があるのに、無理に適用され、60年以上前に作られた地方公務員法と実態があわなくなっています。

●自治体の非正規は70万人にも、一方で正規職員38万人減

 08年の総務省調査では、地方自治体の直接雇用の臨時・非常勤職員の数は49万9千人、その他の雇用形態を含めれば実態は70万人にものぼっており、一方で正規で働く地方公務員は1995年をピークに38万人も減少、急速に非正規への置き換えがすすんでいます。一方、賃金は時給796円、年収168万円、忌引きなし(63・9%)、病休なし(77%)、中には産前・産後休暇なし(69%)など法違反が蔓延している現実もあり、均等待遇という立場での解決が求められています。

 この間のたたかいで、均等待遇を規定した2007年のパート労働法改定は大きな意味を持ちます。そして、不充分ながら基本となる給与を類似する正規職員の初号に位置づける、地域手当・職務経験等を考慮し決定する、通勤手当を支給する、6ヶ月以上勤務には期末手当を支給する等の2008年の人事院の指針などが出されました。

●非正規職員の待遇改善の運動、今がチャンス

 東京都中野区の非常勤保育士雇い止め裁判は、任用制度という壁に風穴をあけました。また非常勤と呼称されていても実態が常勤であるなら手当は支給できるとした枚方市非常勤裁判は地方自治法203条の壁を崩しました。来年4月に向け非常勤職員についても適用できるよう育児休業法改正が閣議決定され、その壁もとり払われてきています。法の形式論でなく、実態を見るという流れを運動がつくってきました。いまがチャンスです。

 「期限のない仕事に期限をつけて雇用するな」(有期雇用の制限)「同じように働かせるなら、同じように扱え」(均等待遇)は国際的には当たり前のルール。自分たちの要求は自分たちで勝ち取るということが重要です。

 この秋の「誇りと怒りの大運動」に全国の仲間と一緒に頑張りましょう。