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府職労ニュース


2010年 2月18日

地方税機構、家庭支援総合センターに不安ばかり
職員を信頼せずトップダウンで強行

このままでは職員だけでなく府民にも迷惑が

 京都地方税機構が新年から業務を開始して1か月が経過しましたが、業務について該当の職場では混乱が生じており、4月から予定されている本格実施に向けて職場内外で不安の声が広がっています。開館まで1か月余りというタイミングで日程が明らかにされたのが家庭支援総合センターです。ここでも該当の職場からは不安の声があがっています。共通するのは、職員を信頼しないトップダウンの進め方です。(写真は、洛東病院跡地に建設中の家庭支援総合センター)

●税務職員が徴収マシーンに


 「国保料まで地方税機構扱いとするのは問題だ。納付をしても国保料よりも他の税が優先されれば、資格証や短期証の交付にも影響してくる。命にかかわる問題だ」「機構当局は、『しがらみの無い徴収』の利点を掲げているが、『しがらみ』があるからこそ、分納相談などのていねいな対応が図れる。税務職員が徴収強化マシーンになってしまわないか心配だ」「X市の状況はヒドイ。生活保護受給者を執行停止としておらず、超過差押も行っている。滞納案件が機構扱いとされると、見えないところでどんなことをされるのか心配だ」
 これらは、2月1日に宇治市、2日に福知山市で開催された「府民の立場から地方税機構発足を考える交流集会」(主催:地方税・国保料(税)税務共同化を考える会)における参加者からの不安の声の一部です。
 事業計画についての住民への説明会の開催はおろか、パブリックコメントさえ行われないなか、問題が山積みのままで1月4日からスタートした京都地方税機構の業務、問題は解消の方向に向かうどころか、府民と職員の不安は高まる一方です。

●連合長の責任は重大

 職員の大きな不安の1つに、各自治体の税務電算を結ぶ「連携システム」の問題があります。4月からの本格稼働を前に、3月までの間は大口案件(500万円以上の滞納)約200件は税機構本部で、共同徴収事案約400件は各地方事務所でそれぞれ実施するとされていますが、システムそのものが未完成のため、1月18日に向けて全件の膨大なデータを1件づつ手入力するという事態が起こりました。
 これには職場からは「どうして、職員がこんな無駄な作業をしなければならないのか。効率化を図るための税の共同化であり、電算化ではなかったのか」「少なくとも、手入力などをしなくて済むレベルにまでシステムができあがってから、はじめて業務をスタートさせるべきではないのか」「未だに、こんな水準のシステムで、4月からの本格稼働など、できるのか」などの声が噴出しました。
 電算システムついては、業務スケジュールに固執するあまり、システム構築作業の進捗状況を無視して事を進めようとする機構当局に対して、府職労はもちろん、京都自治労連がこれまで何度となく懸念を表明し具体的な指摘を行ってきた問題です。
 しかし、12月に開催された京都地方税機構の議会で、「システム不備の現状」について日本共産党の前窪府議と水谷宇治市議が行った追及に対し、機構の広域連合長である山田知事は、「システム開始年度にバグ(欠陥)が発生するのは通常のこと」「手入力と並存するのはどこも行っていること」と言い放ちました。
 4月からの業務本格実施を間近に控えたいまの時点で、職場での混乱を招いている責任の所在は明らか。

●4月からの本格実施の延期を

 1月19日に行われた府職労税務部会交渉において、交渉団は▽機構との関係で現在の職場の執行体制が明らかにされていないこと、▽地方事務所の庁舎・設備が不十分なこと―などについて具体的に指摘。
 そして「現状では府民的にも職場的にも混乱と迷惑をかけるとして、1月スタートの見送りと4月全面移管の延期を求めてきたが、職場の不安はますます大きくなっている」と厳しく指摘しました。そのうえで「改めて4月からの本格実施の延期を求める。あくまでも4月実施というならば、速やかにあらゆる課題の解決に全力を挙げるべき」と主張しました。
 機構の広域連合長である山田知事は、12月の京都地方税機構の議会で、議員からの「住民説明の不十分さ」と「国保料滞納への対応の懸念」についての追及に対し、「法の遵守」「法の趣旨に沿って」と答えました。また、様々な場面において「住民起点の考え方」(「ガバナンス」2009年10月号など)を強調しています。
 府民に対し、これらの発言を絵に描いた餅≠ノしないよう、山田知事の責任は重大です。

●職場は何も知らずまたも新聞辞令

 「職場では何も知らされないままに、新聞報道で初めて知った。こんなやり方ってあるのか」「今頃になって『4月から開館します』と言われても日程がタイトに過ぎる」「『総合相談窓口』など新規事業に必要な人員配置は6月とも見込まれる定期人事異動を待たねばならないのか。仮に経験豊富なベテランが退職された場合の穴≠どう埋めようとしているのか。4年前の長岡京幼児餓死事件の教訓は生かされているのか」「身体障害者手帳を持ち、車通勤をしているが『職員駐車場のスペースはないので、必要ならば自分で探せ』と言われた。困る」
 これらは、洛東病院跡地に建設中の家庭支援総合センターが「4月開館」することを新聞報道(「京都新聞」1月28日付夕刊)で初めて知った該当職場のみなさんの声の一部です。

●不安解消は当局責任近く交渉

 センターには、京都児童相談所、婦人相談所、知的障害者更生相談所、身体障害者更生相談所、吉田母子寮などが移転するとされています。
 一方では、これまで当局からは組織や開館スケジュールなどの根幹の内容が示されていないもとで、各職場からは不安の声が挙がっていました。
 該当分会や健康福祉支部、健康福祉部会などでは、▽よりよい施設づくりと円滑な移転を進めるためにも職員の英知を集め、公開のなかで検討を進めること、▽南部・北部における児童・婦人相談等の総合窓口化の議論についても、現場の声を聞き、これを活かした組織体制づくりを行うこと―を求めてきました。 健康福祉部会では近日中に当局との交渉を実施し、職員の不安解消をはじめ必要な対応を改めて当局に求めていく予定です。


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