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府職労ニュース


2010年11月 1日

関西広域連合は、府民の暮らしと職場に何をもたらすか
当局説明でも疑問符だらけ

最終的には道州制への道

 10月14日、府職労連は政策企画部計画課から、「関西広域連合の概要と検討経過」「関西広域連合設立案」に基づいての説明を受けました。冒頭に、府職労連は、「8月27日に設立案が公表されたばかりで、府民にはほとんど知らされていない状況なのに、10月上旬には採決とは、あまりに拙速なやり方だ」と改めて指摘しました。 計画課からの基本的な説明を受けて後の、主なやりとりは別記のとおりですが、残念ながら結果として計画課からの説明は、「関西広域連合」について府職労連が抱いている、たとえば「京都府の空洞化がいっそう加速するのではないか」「財界や大阪府の意向に引きずられることにはならないか」「ひいては、府民のくらしと営業にマイナスの影響が出ないか」といった根本の疑問や不安を、払拭するものとはなりませんでした。その原因は、たんに時間の制約だけではなく、設立案の内容そのものにあることも明らかになりました。

 府職労連は、翌15日には岡田知弘・京大教授を招いて「関西広域連合は、府民の暮らしと職場に何をもたらすか」と題しての講演会を開催しました。岡田教授は、関西広域連合を「最終的には道州制に行き着く運動体の側面が強い」と喝破。都府県を廃止し州政府を置くことを狙う道州制は、「憲法9条の改定による戦争できる国づくりを想定している」と指摘しました。

 今後、関西広域連合の成立のメドとされている12月を節として、京都府の職場内外からも、様々な動きが見込まれます。引き続き、府職労連への質問・意見、情報の提供をお願いします。

■京都府当局との主なやりとり
●なぜ、広域連携ではダメ?

◇なぜパブリックコメントを実施しなかったのか。ドクターヘリだけが目立っている簡単なパンフレットだけで府民意見は引き出せるのか。景品付きの意見募集では肯定的意見しか引き出せないのでは。そこまでしても、たったの104件の意見では、いかにも少ないのではないか。

→ パブコメをしなかったのは、京都府だけでやっていることではないからだ。パンフレットやHPで広く意見募集した。あの程度の景品は利益誘導にはならないと考えている。ドクターヘリが目立っているのは、少しでも府民に興味をもってもらうため。104件が多いか、少ないかは分からない。

◇なぜ今新たに広域連合の設立が必要なのか、「広域連携」ではだめなのか。
→ たとえば、ドクターヘリや広域的な災害など、府県を超えた広域的な課題があると考えている。現在の広域連携は議会もなく、法的根拠も無く、意思決定機能が弱く、ガバナンスが働かない。

◇府県とは別に広域連合をつくることは、屋上屋を架すことにならないか。
→ 府県の事務を切り出して実施することで、「二重」の事務ではなく、むしろ、事務の集約化につながると考えている。

◇関西広域連合は、「道州制」へのステップとなるのではないか。
→ 広域連合は地方自治法の枠内。道州制は新たな法整備が必要で、制度も趣旨も全く別物で、つながるわけがない。設立案にも明記されている。これまでに開催された関連の会議で、関西財界からのある出席者が「広域連合は道州制のステップ」と発言した時に、「それは違う」と、まっさきにこれを否定したのが橋下・大阪知事であることからも明らかだ。

◇広域連合議会の構成は、各府県から2人~6人(京都は3人)と少数で、府民・県民の声を反映した議会とならない。府の各地域を代表する議員を送り出すことはできないではないか。
→ 人口割だけでは、大阪府などの議員数が突出してしまうので、均等割+人口割で人数を決めた。議員は各府県議員の中から選ばれるので、府民全体を代表していくことになる。

◇「設立案」では、12頁の広域連合協議会(現在で言えば、行政が意見を聞くための「審議会」のような組織)の構成員に「住民(経済団体等)」とあるが、財界の意向を重視するということか。
→ 府議会でも同様の指摘があった。「消し忘れ」と考えてほしい。まだ決まっていない。

●府民の声は反映できるのか?

◇広域連合事務局はスムーズに機能するのか。
→ 初めての組織なので、自信を持って大丈夫とは言えないが、広域的な需要をふまえて、やっていきたい。「観光・文化」は京都府、「防災」は兵庫県など、広域連合の趣旨を生かしながらも、府県の強みを生かしていく。

◇奈良県などが不参加で「国の地方支分部局の事務の受け皿づくり」は困難ではないか。
→ 国から事務移譲が行われる段階では、大阪市、堺市も積極的に参加したいと言っている。
→ 確かに、奈良が不参加というのは残念だが、たとえば、災害に備えた共同備蓄という事業一つとっても、奈良県は、せいぜい数万食なのに対し、参加府県全体では百数万食という状況であり、やっていける。

●職員派遣数や事務局構成は?

◇段階的に府県事務を広域連合に移し、府県の形骸化を狙っているのか。
→ それは考えすぎだ。府県単独より広域的にした方がいいと考えられる事務について移譲していくということだ。

◇設立当初の事務は。
①調理師免許
→ 試験問題の共通化などで人件費、印刷代などの効率化が図れる。
②職員研修
→ 広域的視点を持った職員づくり。
③公設試験研究機関の連携はどこを考えているのか
→ 「商工」を念頭に置いている。
④鳥獣対策は、なぜ「カワウ」なのか
→ 最も、長距離移動するというカワウから、将来はイノシシにも拡充していきたい。

◇事務局への職員派遣数や分野事務局の構成はどう考えているのか。
→ 大阪の本部事務局へ、京都府からは1~2名、一方、分野事務局は担当の府県職員の兼務となるので、府としては観光政策監と観光課職員12名全員を広域連合と兼務させる方向。分野事務局には府県間の人事交流を活用して、京都府から兵庫県に派遣されて、そこで兵庫県と広域連合の兼務となる職員もあり得る。