京都府職員労働組合 -自治労連-  Home 情報ボックス 府政NOW 京の写真館 賃金 料理 大学の法人化
府職労ニュース


2010年 9月21日

拙速な規約案の提案行わず慎重審議を
関西広域連合で府職労連が知事に要請書

いっせいに9月提案ねらう

 関西広域連合の設立について滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、和歌山県、鳥取県及び徳島県が合意し、京都府が各府県と歩調を合わせて、9月府議会に「関西広域連合規約」案の提案を行う方針を決めたことが新聞報道されました。

 そもそも、関西広域連合の具体的な姿である設立案が示されたのは、京都府が意見募集を締め切る間際の8月27日です。関西広域連合が、新たな地方公共団体を設置し、それに参加するという今後の京都府のあり方にも係る性格の問題であるにもかかわらず、その具体的な中身が、府民や府職員にも周知されているとは言えません。私たちは、府議会を含め府民的な議論と検討を十分に行うことが何よりも重要だと考えます。いま求められているのは、見切り発車でなく現段階で不参加を表明している近畿の一員である奈良県や三重県、また京都市などが共同のテーブルに付けるような、実のある広域連携をさらに模索していくことこそが大切ではないでしょうか。

 こうしたことから、私たちは9月府議会での拙速な規約案の提案・議決を避け、府議会を含め府民的な議論と検討を十分に行うことを申し入れるものです。
 また、私たちは、現段階においても、関西広域連合の設立について、以下のような疑問と不安を持っています。これらの疑問と不安にこたえ、説明責任を発揮されることを要請します。

1.そもそもなぜ今新たに広域連合の設立が必要なのでしょうか。
 すでに府県をまたがった事務・業務の協力については必要に応じて行われており、広域連合という新たな組織を作り、そこであらためて共同した業務・事務を行うことは、組織の屋上屋を架すこととなり非効率となるばかりか、新たな財政負担を府民・県民に強いるものではないかと考えます。

2.関西広域連合は、「道州制」へのステップとなるのではないでしょうか。
「関西広域連合設立案(以下、設立案)」では、設立のねらいの第1に、「地方分権改革の突破口を開く」ことが挙げられています。また、橋下大阪府知事は、「大阪発地方分権改革ビジョン」(2009年3月)の中で、関西広域連合を明確に道州制(関西州)のステップとして位置づけています。

3.広域連合が府民の意見を反映して民主的に運営される保障がありません。
①広域連合議会の構成は、各府県から2人~6人(京都は3人)と少数で、府民・県民の声を反映した議会とするには極めて少数です。たとえば、京都府北部や中部・南部それぞれの地域の住民を代表する議員を送り出すことはできません。
②「運営に当たり、住民等から幅広く意見を聴取するため」として、広域連合協議会が設置されることになっていますが、「設立案」では、「住民」としてあえて、「経済団体等」と断り書きがあり、地方自治体の主権者である「住民」でなく、経済界の意向を重視する姿勢が見えます。

4.広域連合事務局はスムーズに機能するのでしょうか。
広域連合事務のあり方では、「京都地方税機構」が準備不足のまま拙速にスタートし、業務開始以来市町村と納税者の関係はギクシャクし、職員は100時間を超える異常な超過勤務、職員同士の連携・事業所間での統一性の欠如など多くの課題や問題が噴出している事実をみれば、業務そのものの遂行にも大きな問題を抱える危険があります。また、分野事務局は、担当委員府県に委ねられることになりますが、単独の府県職員で構成される分野事務局が、各府県の状況を踏まえた事務局運営ができるのでしょうか。

5.広域連合参加府県の構成から「設立案」に述べられている「国の地方支分部局の事務の受け皿づくり」も困難ではないでしょうか。
近畿の中でも奈良県、三重県が不参加を表明しており、逆に例えば、国土交通省近畿整備局の管轄内に入っていない徳島県や鳥取県が参加するなど、国の地方支分部局の管轄範囲と整合性がありません。

6.大阪市を除く政令市が不参加を表明するなど設立議案に示される「広域連合」として処理する事務・事業を推進する意味が極めて希薄です。
たとえば、広域連合の実施事務とされている「広域防災」では、防災現場の主役である消防部署は、政令市が保有しており、政令市の参加を得られない広域連合で、果たして実効性があるのでしょうか。
また、京都府が分担する「広域観光・文化振興」も奈良県や京都市を除いた広域観光ルートの設定など不可能ではないでしょうか。