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スクープを一般記事に扱った朝日の怪 |
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巨大企業の税金逃れ |
苛烈なバッシングのなかでの、これは萎縮なのだろうか。 朝日新聞は11月8日付朝刊で、ルクセンブルクの税務当局が、大手会計事務所の顧客である世界各国340以上の企業と租税回避(税金逃れ)の方法を密かに相談していたと報じた。国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)と提携した、重要なスクープである。 公費で破綻処理された日本債券信用銀行の後身、あおぞら銀行に米ファンドが投資した際、複数国にまたがる20の法人や組合を経由して資金が流れた構図も示されており、本来なら少なくとも経済面トップで扱うものだ。 ところが朝日新聞は、このスクープをわずか57行、署名等を除くと正味600字足らずの小さな扱いにしたため、ニュースのインパクトが伝わらなかった。 記事にはないが、これら企業がルクセンブルクの税務当局のお墨付きで回避に成功した、本来納税すべき金額は数十億ドルに上る。租税回避企業のリストには、ペプシやイケアの名も。 EU(欧州連合)のユンケル欧州委員長は、ルクセンブルクが米アマゾンとフィアットに与えた優遇措置の調査を監督しているが、実は彼はルクセンブルクの首相や財務相を歴任した人物なのだ。税逃れに加担してきた国の責任者が、欧州委員長にふさわしいのか。EUでは大きな問題になっている。 4月5日付朝刊で「金持ち天国タックスヘイブン 秘密ファイル入手」をスクープして以降、朝日はICIJと提携し、租税回避の闇に果敢に迫ってきた。紙面審議会でも、市川誠一特別報道部長(当時)は、「慎重に取材を進めつつも、積極的に報道していきたい」と話している。 ところが今回の扱いは、どう見ても消極的過ぎる。相手は国家や巨大企業だが、そうした強者に関わる問題こそ積極果敢に報道すべきなのは、市川氏の言う通りである。 国税当局の関係者も「あの記事、小さかったね」と漏らした、と聞く。調査報道は新聞社経営にとって、「ハイリスク・ローリターン」かもしれない。さまざまな圧力もかかる。だが、その重要性は揺るがない。負けないでほしい。 (連合通信) |
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