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2014年 12月08日

福島で除染労働者らを支援
「被ばく労働ネット」が2周年

「ピンハネ」や偽装請負が多発

 東京電力福島第一原発の収束作業や除染作業に携わっている労働者を支援する「被ばく労働を考えるネットワーク」が結成2周年を迎えた。原子力資料情報室や全労協などが主なメンバーで、2011年10月に準備会として活動を始め、翌年秋に正式発足した。福島現地の労組(全国一般いわき自由労組、ふくしま連帯ユニオン)と連携しながら賃金不払い是正や安全対策に取り組んできた。11月29日には東京で記念集会を開催。これまでの活動を振り返り、今後の課題についても検討した。

▼7つの争議を支援

 現場ではいわゆる危険手当の「ピンハネ」や偽装請負が今も横行しているという。ネットワークが関わった争議の一例を挙げる。

 ある男性は2012年8月から、田村市での除染作業に従事したが、雇用先の第6次下請け業者のS社から危険手当を支払われなかった。使用者負担で受診が義務付けられている健康診断も受けておらず、虚偽の健診記録を偽造されたという。

 このケースでは、同ネットが現地の労組とともに所管の労働基準監督署に訴え、S社には労働安全衛生法を守るよう是正勧告が行われた。その結果、危険手当の一部が支払われた。引き続き、手当の未払分の支払いを求め、元請けである鹿島建設や国土交通省に対して状況を改善するための監督をするよう交渉を重ねている。

 現在係争中のものも含めてネットワークが関わった労働争議は7件になる。

▼「闇の求人」が拡大

 同ネット呼びかけ人の中村光男さんは「原発事故によって闇の求人が広がったように思う」と語る。収束作業員の募集などは専ら求人サイトで行われるため、現地入りするまで雇い主と労働者が顔を合わせない場合が多い。中には「ブラックの方、訳ありの方多数働いています」と募集広告に書く業者もいたという。

 こうした問題の背景には、建設業界と同様、重層的な多重下請構造がある。そこに切り込んで国を動かすことが、今後のネットワークの課題となるだろう。

 元作業員の男性は多重請負システムについて、「業者が金もうけのためだけにやっている。福島第一原発の収束作業には世界中の関心が集まっているのに、それでいいわけがない」と述べ、今後のネットワークの活動に期待を寄せた。(ライター・木下友子) (連合通信)                                                           
 

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