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2014年 11月27日

内部留保税を創設すべき
「アベノミクス」に異議あり・下

醍醐聰・東大名誉教授

 東京大学名誉教授の醍醐聰さん(財務会計)は、利益をため込んでいる企業には減税ではなく、増税が必要と指摘する。その名は「内部留保税」。安倍首相が本気で「好循環経済」を考えているなら、ぜひやってほしいと訴えた。

▼国策でため込んだカネ

 現金としてためているかどうかは別にして、資本金1億円以上の企業には合計で約250兆円もの利益剰余金(内部留保)がある。

 醍醐さんは、これだけ積みあがった理由として、(1)法人税率の引き下げ(2)低い労働分配率(3)外国に比べて低い社会保険料負担(4)国策としての金融緩和・円安誘導――などを挙げた。この5~6年を見ても、従業員給与がほとんど横ばいなのに、内部留保は25%も増えているのである。

 特に、企業努力でなく、「国策としての円安誘導」と、従業員への過少配分の結果であることに注目。「この内部留保を企業内にとどめるのは公正ではない。社会的再配分の財源に当てるのが正論だ」

 具体的には、ため込んだ利益に課税し、国庫にプールした上で再配分すればいいという考え方だ。仮に1%を課税すれば、2・5兆円の財源が生みだせる。

 さらに、この手法は安倍首相にとっても悪い話ではないという。「政府は『経済の好循環』のために法人税を下げてきたはず。しかし、実際にはあまり循環していない。そうであれば、好循環をつくりだすために課税すべきではないか」と語った。

▼全労連も検討を

 講演は、全労連結成25周年記念集会で行われた。全労連は以前から、春闘で大企業の内部留保を取り上げて社会的に配分すべきと訴えてきた経緯がある。醍醐さんは最後に「全労連として内部留保税について大いに議論を巻き起こしてほしい」と期待を述べた。(連合通信)                                                           
 

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