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2014年 12月16日

「執行猶予付きの勝利」
〈総選挙結果、こう見る〉

政治学者 五十嵐仁さん

 ――選挙結果をどうみますか?

 今回の総選挙の結果は、寝込みを襲うように解散した安倍政権の「作戦勝ち」といえる。「アベノミクスによる景気回復」というおいしそうなえさをぶら下げて票をかすめ取るやり方がうまくいった。「横綱相撲」といえるものではなく、けたぐりや張り手のたぐいで勝ちを得たようなものだ。

 投票率が戦後最低となったのも寝込みを襲われてぼう然とした有権者が多かったためで、景気回復や消費税増税先送りという、反対しにくい課題を前面に押し出したことも背景にある。一方で、集団的自衛権や原発再稼働、沖縄の新基地建設の問題など、国民の反対 の大きい重要政策課題については、徹底して争点隠しを行った。

 有権者にしてみれば、アベノミクスの経済効果に実感がわかなくても「そのうち、おこぼれが落ちてくるのではないか」という期待のようなものがある。「もう少し、ようすを見てみようか」という「猶予」を政権に与えたという意味で、「執行猶予付きの勝利」とみている。

 今後、景気が改善せず、消費不況や物価高で生活が厳しくなれば「猶予」はたちまち解除され、政権には「実刑判決」が下されることになる。安倍首相が「信任を得た」と勘違いして、きなくさい安保・外交政策を強行すれば、大きなしっぺ返しを食うことになるだろう。

 ――民主党は厳しい結果となりました。

 民主党政権で「裏切られた」という有権者の怒りがまだ収まっていない。政策的にも消費税増税を自民・公明とともに推進したという傷がある。原発再稼働を進めたのは野田政権だった。党内では「憲法改正」についても意見が割れている。

 「安倍政権にブレーキをかけたい」「暴走をやめさせたい」と思う有権者は、民主党には行かず、共産党に流れた。これが今回の選挙の特徴だろう。

 ――沖縄の結果については?
 沖縄では、小選挙区で共産党と社民党、生活の党が議席を獲得した。「小選挙区だから当選は無理」とあきらめず、「一点共闘」のような形で勝利した点は注目される。

 「原発再稼働反対」「TPP(環太平洋経済連携協定)からの脱退」「消費税増税反対」など、その地域において特に重要な争点になりうる課題でさまざまな政党が協力する「沖縄方式」は、今後他の小選挙区でも検討されてしかるべきだろう。(連合通信)                                                           
 

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