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2014年 4月 7日更新

「公務員制度改革」関連法案・参議院で審議始まる 
全労連公務部会が委員会傍聴・要請
 
民主的公務員制度の確立を

 3月14日に衆議院で成立した公務員制度改革関連法案については、4月2日の参議院本会議で趣旨説明と代表質問が行われ、3日に内閣委員会で法案審議が始まりました。

 全労連公務部会は3日、参議院内閣委員への要請行動ともに、委員会傍聴にとりくみました。 8日には参考人質疑が予定され、専修大学の晴山一穂教授が行政法学者の立場から、憲法にそった民主的公務員制度のあり方などにかかわる意見陳述をします。

 4月3日の参議院内各委員会では、公務員制度改革の理念をはじめ、幹部人事の一元管理、級別定数の管理など内閣人事局が担う事務、さらには自律的労使関係など労働基本権にかかわる問題まで幅広い内容が議論されました。

▲内閣人事局に権限

 級別定数の設定・改定の事務が人事院から内閣人事局に移ることにかかわって、自民党の山谷議員は、「人事院の意見を尊重すると言うが、内閣人事局と人事院との間で意見が異なれば、どのように対応するのか」と見解を質しました。これに対して、公務員制度改革推進事務局の川淵事務局次長は、「級別定数の設定は人事院の意見を十分に尊重する。その意見と異なる場合は、内閣人事局に重い説明責任が生じるが、そうした事態は想定されるものではない」と答弁しました。

 原恒雄人事院総裁は、「級別定数は勤務条件としての性格を持つため、労働基本権制約下においては、これまでと同様に代償機能を確保する必要がある。そのため、人事院が労使双方の意見を聴取して策定した級別定数の設定案を意見として内閣人事局に提出し、それにもとづいて内閣人事局が設定することとなる」と答弁し、稲田朋美公務員制度改革担当大臣は、「特段の事情がない限り、人事院の意見に従うべきだ。人事院の意見は、現行の各種の意見以上に尊重する」として、法案やこの間の国会審議にもとづいて、人事院の意見を十分に尊重する立場をあらためて強調しました。

▲ILO勧告は「法的拘束力ない」が政府対応

 8度にわたるILO勧告に対する政府の対応については、後藤田正純内閣府副大臣は、「ILO勧告は、関係者と十分に話し合うこと、ILOへの情報提供をつづけることの2点を日本政府に求めている。政府として、この勧告にもとづいて、職員団体からも意見を聞き、ILOへの情報提供もつづけている」とのべたうえ、「ILO勧告は尊重すべきだが、法的拘束力はない」などとして、労働基本権回復を繰り返し求めてきたILO勧告に耳を貸さない日本政府の対応を正当化しました。

 公務員の労働基本権回復について自民党議員は質問の中で、否定しました。
 
▲時の政権党に忠実な公務員づくり

 日本共産党の共産党の山下議員は、今回の法案によって、憲法15条がさだめる「国民全体の奉仕者」から政権党に奉仕する公務員へと変質させる問題点について、菅義偉官房長官を追及しました。山下議員は、幹部職員人事が一元管理されることで、幹部職の任免にはあらかじめ内閣総理大臣と内閣官房長官の協議が必要になることから、その結果、政権の意向にもとづいて幹部職員が登用されることとなる問題点を指摘しました。

 山下議員が、「『全体の奉仕者』の立場から、社会保障制度改悪など国民の利益がそこなわれる政策に対して、公務員が批判的な意見をのべることは歓迎されるべきことだ。政権の方向性とそぐわないと判断された幹部職員が降格されれば、自由にものが言えなくなる。総理大臣と内閣官房長官の任免協議が入ることで、時の政権党の言いなりになる『ヒラメ公務員』が増える」と厳しく指摘しました。

 これに対して、菅官房長官は、「選挙によって国民から付託を受けた政権が、国民に公約した政策を遂行することは当然の役割であるし、その最前線で指揮をとる幹部職員が政権と無関係に働くこともありえない。公務員が政権に協力するのは当然だ。それが全体の奉仕者につながってくる」と強弁しました。山下議員は、「いくら国民の負託を受けたとしても、その政権が憲法で保障する国民の人権を阻害する政策をすすめようとすることに対して、おかしいと勇気を持って言える公務員が必要ではないか」と追及すると、菅官房長官は「それは当然のことだが、憲法に反するようなことを政府がやろうとはまったく考えていない」などとまともに答弁しませんでした。

 山下議員は、「公務員の職務に照らして、自由にものが言える官僚組織にすることが、国の行方を誤らせない歴史的な教訓ではないか。そのことを経て、公務員が『全体の奉仕者』として憲法で位置づけられた。公務員が政権に従うのは当然だという主張は、そのこととも反する」とのべ、重ねて「国民全体の奉仕者」としての公務員の役割を果たすことのできる制度を強く求めました。(国交労連速報より)
  
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