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2013年12月17日更新

政治か移動の自由制限など条例案強行 
維新の会・自民・公明が賛成
 
大阪府職労が抗議声明

 11月28日、松井大阪府知事は「職員の政治的行為の制限に関する条例案」「労使関係における職員団体等との交渉等に関する条例案」を理事者提案として府議会に提出。12月16日の府議会本会議で維新・自民・公明各党の賛成で可決・強行されました。大阪府職労執行委員会の抗議声明を紹介します。


              大阪府議会における「職員の政治的行為の制限に関する条例案」
              「労使関係に関する条例案」の成立に断固抗議し、即時の撤回を求める



1.大阪府議会は12月16日、維新の会、公明党、自民党の賛成多数によって、「職員の政治的行為の制限に関する条例案」「労使関係における職員団体等との交渉等に関する条例案」を可決成立した。
 この間、松井知事自身が「府職員は政治的活動に関して公務員である立場をしっかり踏まえた対応をしている」と言明する一方で、「大阪市派遣の府職員が発信したメール事案が職員の政治的中立性に誤解を生じさせた」とし、「問題事案の未然防止の観点から制定する必要がある」と提案したものである。しかし、立法事実がないもとで条例を成立強行させたことは、厳しく抗議するものである。 

2.「職員の政治的行為の制限に関する条例案」は、職員が規制される政治的行為の範囲を国家公務員並みに拡大するものである。国連自由権規約委員会は、国家公務員法のような包括的・網羅的な政治活動の規制は「不合理な制限」とし、その撤廃を日本政府に勧告している。公務員の政治活動は「自由」が世界標準であり、条例は世界の流れに逆行すると言わざるを得ない。また、公務員は「全体の奉仕者」(憲法第15条2項)であり、特定の知事や議会のために存在するものではない。行政のあり方や府政の課題など職員が意見表明し、積極的に住民と意見交換することは、住民福祉の増進など、よりよい行政を実現するためにも保障されなければならない。これを規制する条例は、住民要求に耳を傾けず、特定の知事や議会にのみ忠実な職員をつくり、行政の中立性・継続性を否定するものである。さらに、憲法21条1項に保障された政治活動の自由を不当に制約し、政治的行為の制限の解釈・運用に際し「職員の利益保護を目的とする」とした地方公務員法36条5項にも違反する。昨年12月に出された最高裁判決は、国公法で禁止されている政治的行為とは「公務員の職務遂行の政治的中立性を損なうおそれが、観念的なものにとどまらず、現実的に起こり得るものとして実質的に認められるものを指す」としている。知事の言う「誤解を生じる」「未然防止の観点」は、極めて「観念的なもの」であり、条例は最高裁判決にも反する。しかも、唯一の理由としている「職員のメール事案」は、法令・条例にも抵触せず、条例の対象に値しないものである。条例制定の狙いが職員への管理強化とトップダウンの徹底、「いっさいの批判を許さない口封じ」であることは明白である。

3.「労使関係における職員団体等との交渉等に関する条例案」は、憲法で保障された労働組合活動を不当に制限するものである。管理運営事項であっても、勤務条件などに関連する場合は、団体交渉の対象となるのは当然である。しかも、労使の意思疎通を阻害し、最前線で住民の意見を聞き、専門性や経験を蓄積した職員の意見を排除することは、行政運営にも悪影響を及ぼすものになる。総務部長も府議会において「職員団体が本来の役割を果たしていることは良好な職場環境をつくるうえでも必要なこと」(2012年3月9日)と答えている。また、府労働委員会は9月26日、大阪市役所庁舎内の組合事務所退去にかかわる団体交渉を拒否したことは、不当労働行為であると断じ「誠実団体交渉」と「誓約文の手交」を命じている。まさに条例は、労働組合そのものを否認し、憲法28条の労働基本権を踏みにじる条例といわざるを得ない。

4.以上のとおり、憲法にも地方公務員法にも違反し、職員の自由と権利を奪い、府民サービス向上にも支障をきたす本条例に対し、厳しく抗議するとともに、即時の撤回を求めるものである。
府職労は、条例が制定されたもとであっても、「もの言わぬ公務員づくり」をいっさい持ち込ませず、いっそう住民との共同をひろげ、憲法にもとづく「思想信条の自由」「表現の自由」を基本的に保障させる立場をふまえ、引き続き職場からの運動に全力をあげるものである。
 
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