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2013年 2月 8日更新

 強大な弱者いじめの生活保護費引き下げ 
院内で緊急反対集会
 
最低賃金にも大金影響

 政府が1月29日、2013年度予算案で生活保護基準の引き下げ方針を閣議決定したもとで、2月1日、緊急院内集会が「『STOP!生活保護基準引き下げ』アクション」主催で開催され、ました。

 生活保護基準部会報告書を検証する-生活保護費引き下げ~10の疑問」と題して吉永純さん(花園大学)が基調講演。

 「数値目標を出して生活保護費を削るのは初めて。OECDワースト4位(6人に1人が貧困)の貧困大国・日本を放置、拡大する『強大な弱者いじめ』ではないか」と切り出し、今回の引き下げ案の特徴は、「①実質1年8ヶ月で生活扶助費を7.3%削るという過去最大の引き下げ、②96%の世帯で減額になる、③中でも子育て世帯の下げ幅が最大10%になる」と指摘しました。さらに、「生活保護の捕捉率2~3割の下で低所得の下位10%と比較すれば、保護基準の方が高くなるのは当然。基準引き下げで子どもの貧困を防ぐだけの生活が保障されているのか等の具体的な検討がない。利用者の意見がまったく聞かれていない。物価を2%上昇させれば生活が苦しくなることは明らか。基準部会報告書は『生活保護基準引き下げ妥当』という結論ではない」と述べました。

 また、「低額であっても一旦就労することを基本的考え方にすることを明確にすべきとして稼働層に対する締め付けの強化、福祉事務所が必要と認めた場合には、扶養が困難と回答した扶養義務者に対して、扶養が困難な理由を説明することを求めることができる。後発医薬品の使用を原則化する。など、生活保護の利用を強く抑制する生活保護改悪が計画されている」と報告しました。

 特別報告として、東京自治労連書記長が「福祉事務所から見た生活保護制度の『見直し』」を報告しました。

 「『知的には適切な教育を受け、社会的(家庭、地域社会、職場)には豊かな人間関係に恵まれ、精神的にも安定している状態』を追求するのが憲法25条の趣旨であるが、今の生活保護基準でもその状態を満たしているとは言えない。不正受給が多いと言うが、受給世帯の高校生がアルバイトをしていて申告しておらず、これが不正受給扱いになっているケースが多い。稼働層への締め付けの強化というが、今もハローワークと連携して就労支援しているが、なかなか採用されないのが実態であり、締め付ければ就労できるというわけではない。福祉事務所の利用者への調査・指導権限を強化するというが、これでは相手との信頼関係がつくれなくなり、寄り添う支援・伴走型の支援ができにくくなる」と告発し、「生活保護を受けられるのに受けていない方を生活保護制度で救う必要がある。生活保護を受けにくくする施策はやめてほしい」と述べました。

 利用当事者の方が5人発言しました。子ども3人を抱えている母子家庭のお母さんは、「お湯を張るとガス代が倍になるので冬でもシャワーで我慢。体操服も1枚だけで替え着は買えない。生活保護費が削減され、一方物価が上がり、消費税も上がったらどうしたらいいのか」と訴えました。

 生活保護問題対策全国会議の尾藤廣喜弁護士がまとめにたち、「こうした声をぜひとも国会に届けなければならない。予算の枠組みは決まったと言われるが、細部まで決まったわけではない」とし、「生活保護基準の引き下げが就学援助や住民税非課税基準、最低賃金などに深刻な影響を与えることを広く市民に訴え、当事者とともに立ち上がろう。今回初めて数値目標が掲げられている。これは2007年7月に、福祉事務所から生活保護を廃止され、『オニギリ食いたい』との日記を残して52歳の男性が餓死した「北九州市小倉北餓死事件」を強く想起させる。北九州市は当時、生活保護の年間数値目標を決めており、生活保護を認めれば、それに見合った数の受給者を外さなければならないことが事件の背景にあった。生活保護は最低生活を支えるためにあるのであり、その運用や中身の問題を監視しなければならない。最低生活を支えている岩盤が壊れないようがんばっていきましょう」と結びました。

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