2013年7月21日投開票で行われた第23回参議院選挙の結果、自民党は議席を倍増させ、自公与党で過半数の122議席を確保した。民主党は改選44議席から17議席と大幅に減らし、みんなの党・維新の会は伸び悩むなか、「自共対決」を掲げた日本共産党が議席を倍増し、参議院での単独議案提案権を獲得した。
今回の選挙の争点として私たちが押し上げてきた「改憲の具体化許さない」課題では、自民・維新・みんななど改憲勢力は143議席にとどまり、改憲発議要件の3分の2に及ばず、一定の歯止めをかけた。
「自民圧勝」などのマスコミ報道が目立つが、選挙区の6割が1人区と、事実上の小選挙区状態で「34.7%の得票で53.7%の議席獲得」という選挙制度の問題点とともに、自民党の今回得票数も、民主党に敗北した09年総選挙時の得票を下回っていることを見れば、自民党が掲げた政策に、国民が積極的に支持をしたものとは言えない。
また戦後3番目に低い投票率は、選挙制度の問題と合わせ、もはや政党としての体をなさない民主党への批判と、自民党の暴走にたいする不安の中で、「どこを選べばいいのか」という有権者の探求の表れと言える。
安倍政権は、当初、国民からの批判を避けるため、改憲、雇用破壊、原発再稼働、TPP参加、消費税増税、社会保障の大改悪など、既に政府方針としている重要問題について、明言を避け、争点隠しの姿勢をとった。
こうした中で、自治労連は、この参議院選挙を、「憲法改悪を許さず、国民・労働者の生活を立て直す選挙」と位置付け、すべての単組・職場から政治と仕事を語り、労働組合としての要求や政策を広げる運動を提起し、中央・地方で要求実現行動を展開した。
また、「ネット」を活用した選挙戦の一定の解禁とも相まって、とりわけ「原発ゼロ・再稼働反対」や、「ブラック企業」が大きな話題になるなど、国民運動が「争点隠し」を許さず、争点を明らかにする取り組みが前進した。
安倍政権は、選挙結果を受け、「衆参ねじれが解消された」とし、消費税増税、社会保障大改悪、原発再稼働、TPP参加、米軍基地問題などの具体化に向け、暴走を開始することが予想される。また、3年後の参議院選挙を視野に、改憲に向けた国民投票の準備が進められることも危惧される。従って「衆参ねじれ」が解消しても、安倍政権とその補完勢力が進める悪政と、国民・労働者の願いの「ねじれ」はなくならず、その矛盾はより明瞭なものとならざるを得ない。
自治労連は、この選挙戦で掲げた要求の前進に向け、当面する最賃改善、公務員賃金改善、予算人員闘争など、夏季闘争に力を注ぐとともに、正念場となる臨時国会に向け、公務民間の共同、国民共同などを大いに広げ、住民のいのちとくらしを守る運動に全力で奮闘するものである。
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