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2013年 7月18日更新

日本政府のTPP交渉への参加に断固反対する 
内閣官房TPP対策本部に意見書
 
自治労連本部

 自治労連は7月17日、内閣官房TPP対策本部に「「TPP交渉参加に関する政府への意見書」を提出しました。

TPP交渉参加に関する政府への意見書

1.組織名 日本自治体労働組合総連合(自治労連)
2.代表者 野村幸裕(中央執行委員長) 電話03-5978-3580

3.提出意見

 自治労連は、住民のいのちと暮らし、地方自治を守る立場から、日本政府のTPP交渉への参加に断固反対する。TPP(環太平洋連携協定)は、物品やサービス、労働力や資金の移動を完全自由化するために、障害となる一切の規制を緩和、撤廃する協定である。日本が参加をすれば、TPP交渉を主導するアメリカの圧力で、食料、医療、労働、公共事業、保険、共済など広範な分野での規制がなくなり、国民の暮らし、安全、医療、雇用、地域経済が崩壊の危機にさらされる。日本国民の圧倒的多数はTPP交渉参加を容認していない。地方自治体では、全国で44の道府県議会、8割を超える市町村議会がTPP交渉には「反対」「慎重な対応を求める」意見書を採択している。政府はTPP交渉への参加を直ちに撤回すべきである。以下、TPP交渉参加の問題点について、対象分野を示して指摘する。

1.食料自給率が下落し、農林水産業、地域経済が壊滅する

対象分野
【1.物品市場アクセス】

「1.物品市場アクセス」の分野では、関税の撤廃や削減が前提とされており、日本の関税自主権、食料主権が侵され、農林水産業が壊滅的な打撃を受ける。TPP交渉への参加が、日本の食料自給率を大幅に下落させ、農林水産業関連だけでも大量の失業者が生み出されることは政府の試算でも明らかである。各地の自治体は、学校給食の食材に地元で採れた農産物を活用するなど、地産地消・地域経済振興の取り組みを進めているが、TPP交渉参加はこれらの取り組みを阻害する。政府が食料・農業政策において行うべきことは、自らが閣議決定した「食料・農業・農村基本計画」(2010年3月30日閣議決定)に基づき、食料自給率を早期に50%に引き上げるなど、日本の農林水産業を抜本的に支援する政策を進めることである。TPP交渉への参加は政府の基本計画にも逆行する。

2
.国民皆保険、食の安全など、国民の安全・安心が脅かされる

対象分野
【1.物品市場アクセス】
【2.原産地規則】
【4.SPS(衛生植物検疫)】

「1.物品市場アクセス」などにおいて、混合診療が拡大し、公的医療保険の対象が縮小する。国民の誰もが必要な医療を保険で受けられる国民皆保険制度が「非関税障壁」とされて、崩壊するおそれがある。また「2.原産地規則」の分野では、遺伝子組み換えなどの規制を弱めることも検討されており「4.SPS(衛生植物検疫)」の分野においても、安全基準が後退させられる危険がある。

3.労働者の保護規制が廃止、後退し、人間らしく働くルールが壊される

対象分野
【17.労働】

 「17.労働」の分野では、TPP交渉に参加するすべての国がILOの基本8条約(結社の自由及び団体交渉権の保障【87号、98号】、強制労働の禁止【29号、105号】、児童労働の禁止【138号、182号】、雇用及び職業における差別の排除【100号、111号】)を批准することを前提としない限り、労働者の保護規制が緩和、撤廃されるおそれがある。TPP交渉参加国の中には、ILOの基本条約すら批准していない国が多い。日本も例外ではなく、2条約(105号、111号)が未批准である。

4.公共事業への外国企業参入が拡大し、地域の中小業者が受注する機会が奪われる。

対象分野
【7.政府調達】

「7.政府調達」の分野では、公共事業の地元優先発注など自治体が地元の中小商工業者を支援して、地域経済を振興する独自の施策が廃止に追い込まれるおそれがある。公共事業に従事する労働者に適正な賃金の支払いを義務付ける公契約条例を制定する自治体が広がりつつあるが、これも「公正な国際競争を阻害する」として排斥されかねない。さらに「7.政府調達」分野では、英語での入札公示を義務づけることも検討されており、過度に煩雑な事務が自治体に押しつけられることになる。TPP交渉に参加をすれば、公共事業への外国企業の参入が無原則に拡大し、地域の中小商工業者の受注する機会が奪われ、地域経済が衰退することは明らかである。

5.共済など労働者、市民の自主的な取り組み、協同事業が不当に規制される

対象分野
【9.競争政策】
【12.金融サービス】

「9.競争政策」の分野では、「外国企業の日本市場への参加促進」を口実に、自主共済など非営利団体の事業や基金などの活動が規制され、一般の営利企業と同様の課税条件が課されるおそれがある。また、「12.金融サービス」では、共済など労働者、市民の自主的な取り組みや、協同事業が規制の対象となるおそれがある。

6.ISD条項で、国民主権、地方自治が侵害される

対象分野
【15.投資】

「15.投資」の分野では、海外投資家・企業の利益が法的に日本国民よりも優位に立ち、国民主権、地方自治を著しく侵害するISD条項が導入されようとしている。ISD条項は、多国籍企業が投資・参入しようとする国や自治体の政策で「不利益を被った」と判断すれば、その国の政府と自治体に損害の賠償を提訴できる仕組みとなっている。提訴されれば、指定された仲裁機関が非公開で審理を行い、判定に不服があっても上訴できない。韓国ではTPPの先行モデルとされている米韓FTA(米韓自由貿易協定)により、米国自動車会社の圧力で自動車の二酸化炭素(CO2)規制が先送りにされている。TPP交渉に参加をすれば、ISD条項を背景に、外国企業から国や自治体に対する不当な介入が強まることは明らかである。


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