衆院では自民、公明、民主、維新、みんな、生活の各党の賛成多数で可決された生活保護法「改正案」が、会期末を6月26日に控えた、18日の参議院厚生労働委員会で趣旨説明(わずか5分)が行われ、審議が20日から始まりました。
申請時の「水際作戦」が強化され、扶養義務がある状況を記した書面の提出を義務付けるなど、扶養義務を大幅に強調し、生活保護のハードルを引き上げ、申請者を窓口から締め出すものであることが改めて明らかになりました。また、「改正案」と合わせて提出されている「生活困窮者自立支援法」によって、生活保護による支援ではなく本人の意向に反した「就労」を押し付けられる危険性も指摘されました。
6月18日には、法学研究者を中心に広く、運動や、現場実践家等で研究をしている人たちによって「生活保護法改悪に反対する研究者の緊急共同声明」も出されています。
生活保護受給者のみならず、国民のセーフティネットが大きく引き下げられ、社会保障制度改悪の突破口とされる生活保護法の改悪を何としても阻止するために国会会期ギリギリまで、徹底した審議を求めると同時に、当事者の声を聞かないで法案を「通過させるな」の世論を構築し、声を集中することが重要です。
□「再度、自治体に徹底する(村木局長)」 20日の厚生労働委員会審議から
○全国1252か所の福祉事務所の窓口に申請用紙が常備されているかとの質問にその実態については把握していないとの答弁。「扶養は、生活保護の要件ではない」と言いながら扶養義務をどの範囲まで求めるのかとの質問に原則民法上の3親等以内の親族で、申請時には、扶養義務がある親族の状況を記した書面の提出が義務付けられる。(社民党/福島みずほ)
○厚労省の調査でも相談件数の半数程度しか申請されていない実態を指摘し、「水際作戦」があってはならないというのなら、意思表示があれば申請を認めるべきと追及。村木厚子社会・援護局長は、「申請意思が明確だと本人から聞き取れた場合には申請書類を渡さないことはあってはならないと、再度、自治体に徹底する」と表明。(日本共産党/田村智子)
□「水際作戦がさらに助長」 21日の参考人質疑から21日に行われた参考人質疑で、NPO法人ほっとプラスの藤田孝典代表理事は、保護開始の要件でもない申請書の提出を窓口で強要し、口頭申請を受理しない「水際作戦」が多発している現状を指摘し、申請書の義務付けた今回の改悪案で「水際作戦が」さらに助長されると述べました。また、改悪案が申請書の記載事項を厳格化することで、就労指導最優先の窓口対応が増え、申請者が追い込まれ自殺者が多発する危機感があり、法案の見直しを求めました。
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