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2013年 5月 9日更新

 「これは無理だ!」保育の基準を現場検証―全保連 
 民間への開放を掲げる規制改革会議
 
日本弁護士会は意見書

 政府は、4 月に設置する「子ども・子育て会議」で新制度の設計を議論し、平成27 年に新制度に移行したうえで5 年かけて待機児童を解消することを目標としています。 

 しかし、規制改革会議は、「保育園がなくて困っている母親にとって、7 年後はあまりに遅い」と批判し、「政府は、この2 年間で待機児童ゼロを目指してあらゆる措置を講じるべきである」との見解を示しました。その上で、イコールフッティングで民間企業やNPO法人の認可保育所への参入を促し、最低基準の要件を緩和することなどを主張しています。6月に政府がまとめる「成長戦略」にこれらを盛り込むことをめざし、会議内に「保育チーム」を発足させました。チームの委員には、保育業界最大手のJPホールディングスの社長、認可保育所を批判する学習院大学教授などが名を連ねています。

 こうした動きに対し、3月14日、日本弁護士会は「子どもの保育を受ける権利を実質的に保障する観点から子ども・子育て関連三法(子ども・子育て新システム)が施行されることを求める意見書」を発表し警鐘を鳴らしています。

▼規制緩和による待機児童解消策でいいのか?

 4月28日、全保連主催により、「保育所面積基準を引き下げると、保育がどうなるのか」、「『遊ぶ・食べる・寝る』ための十分な広さが確保できるのか」の現場検証を阿佐ヶ谷保育園において行いました。自治労連からは蛯名中執が視察をしました。

○今回の現場検証で使用する保育室の面積は45㎡。
◆第一場面は、0歳児5㎡で子ども12人、保育士3人の場合
◆第二場面は、0~1歳児3.3㎡(国の最低基準)で子ども15人、保育士4人の場合
◆第三場面は0~1歳児2.5㎡(規制緩和案)で、子ども19人、保育士5人の場合

 場面が第一から第二、第三と移行していくにつれ、マスコミ含め、視察者からは口々に「急に狭くなるね」、「これ以上詰め込むの?」など声があがりました。壁際のベッドで寝息をたてている子どもを気にしながら、泣き出す子どもをあやし、おもちゃを手に高い台に登る子どもに注意を払い、抱きかかえ、背負いながら、慌ただしく布団だしや食事の準備をする保育士の姿を目で追いました。この日の検証は、短時間のものですが、実際の保育はこの状態が一日、毎日続きます。実際に第三場面(一番狭く詰め込まれた状態)になると、「これは無理!危険過ぎる」と誰もが納得しました。見せつけられた規制緩和の現実に、子どもたちの泣き叫ぶ中、視察者席は静まりかえりました。対応した保育士は「詰め込みでは子どもの健全な成長、発達は保てない」とし、「保育の『質』を保った上で『量』の議論を」と訴えました。

日本弁護士会意見書

1 改正児童福祉法第24条第1項と同条第2項で、保育を受ける子どもの取扱いに差異を生じさせることなく、全ての子どもについて同様の取扱いをすべきである。
2 保育の必要性の認定制度については、これを撤廃するか、もし、撤廃しないとしても、その認定においては、子ども自身が保育を受ける必要性を中心に考慮する制度とすべきである。

3 保育にかける公金が、子どもの保育の質と量を維持拡大するために使われるような仕組みを設けるべきである。

4 最低基準は、子どもが保育を受ける権利を実質的に保障しうるレベル以上のものとし、かつ、子どもが保育を受ける全ての施設・事業で、少なくとも重要な点については同じ基準とすべきである。

5 保育料(子どもが保育を受ける際の保護者(親)の自己負担分)を無償化すべきである。

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