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2013年 3月18日

合意内容の修正、一切認めず! 
TPP会合で米代表が発言

日本の「関税維持」ほぼ不可能に

 シンガポールで開かれていたTPP(環太平洋経済連携協定)の内容を議論する交渉参加国会合で、米国の代表が「日本には妥結した内容に関して文言一つ変えることを許さない」と発言していたことが3月13日、分かった。現地で情報収集を行っていたNGO・アジア太平洋資料センター(PARC)が明らかにした。コメなどの農作物の関税を死守したい日本側の主張は一切認められない可能性が強まってきた。

▼「新提案も認めない」

 TPPをめぐっては昨年末、自民党が総選挙で「聖域なき関税撤廃」を前提にする限り、交渉参加に反対すると公約して政権交代を果たした。安倍首相は2月中旬にオバマ米大統領と会談し、「聖域なき関税撤廃ではないことを確認した」として、3月15日に正式に参加表明を行った。

 PARCによると、米国の交渉担当者は公式会合の中で、日本が交渉に参加しても「これまでに決まった内容に関して文言一つ変えることは許されないし、新たな提案もさせない」と説明。合意を進めるため、二国間交渉は7月までに終わらせるよう他の参加国に指示したという。昨年10月に参加したカナダ、メキシコは過去の交渉で合意した内容について再交渉できないことを約束させられており、米担当者の説明どおりならば、日本も同様の扱いを受けることになる。

▼日本サインするだけ

 日本がTPP交渉に参加表明しても、米国やオーストラリアなど11カ国の承認が必要で、話し合いに入れるのはどんなに早くても7月の見通し。参加国は10月までの大筋合意をめざしており、7月の会合で交渉事項の大半が合意に達している可能性もある。合意内容などは参加国以外には一切非公開のため、どの項目が妥結したのかは不明だ。仮に農作物の関税撤廃が合意済みであれば交渉の余地はない。政府が参加の前提条件とする「聖域なき関税撤廃ではない」という主張は根拠を失うことになる。

 シンガポール会合の関連行事では米国商工会議所が演説し、日本に対し自動車、牛肉、保険の3分野で一層の市場開放を求めた。PARCの内田聖子事務局長は「交渉内容がほぼ決まった時点で日本がTPPに参加しても、内容を変えることは難しい」と指摘。日本は米国の要求にサインをするだけで、「TPPで何も得ることはできない」と警鐘を鳴らしている。

きちんと情報公開をTPPで米市民団体

 食の安全や環境保護に関わる米国の市民団体など400以上の団体が、連名で連邦議会議員に手紙を送った。オバマ政権が進めるTPP(環太平洋経済連携協定)交渉の内容を明らかにさせるべきと述べ、協定の中身が国民の利益に反したものとならないよう議会の権限強化も求めている。

 手紙は3月4日付。労組や農業団体、宗教団体も名を連ねている。そのなかで「TPP交渉が向かっている方向は望ましいものとは言えない」と指摘。人権や地域経済、食料主権、薬品価格、消費者の権利などの点で不安があるという。

 オバマ政権が交渉内容に関する情報を出さず、議会を軽視していることについて、「極めて非民主的なやり方」と批判している。
 400団体の構成員は合計で約1500万人。


大企業本位のものではダメ/TPP交渉/米国労組の担当者が訴え

 TPP(環太平洋経済連携協定)に参加すると、農業だけでなく、雇用や食品の安全性など幅広い分野でマイナスの影響が出ると心配されている。現在、交渉を主導している米国でも市民や労組が同様の懸念を表明。AFL―CIO(米国労働総同盟産別会議)の担当者は、多国籍大企業の意向に沿った協定にしないよう、早急に声を上げるべきだと訴えている。

 AFL―CIOの貿易問題担当者セレステ・ドレイクさんは、3月11日に同労組のホームページに投稿して、TPPの危険性に警鐘を鳴らした。ドレイクさんは「貿易協定は雇用や働く者の権利、食品・水の安全性などにも影響する」と指摘。NAFTA(北米自由貿易協定)をはじめとする貿易協定が過去に数百万人もの雇用を破壊した二の舞いになる恐れや、多国籍大企業の意向によって毒性化学物質の使用が解禁される可能性にも言及した。

 にもかかわらず、米国のマスコミはTPPについてほとんど報道していない。国民の多くは内容を知らされておらず、このままでは取り返しのつかないことになるという。

▼入ったら出るのは困難

 ドレイクさんは「過去の貿易協定で利益を得てきた多国籍大企業は声が大きい。その意向がまかり通るなら、我々が望むものとはならないだろう」「自国の経済や雇用に悪影響があると分かった場合でも、協定からの離脱は容易ではない」と述べている。

 その上で、オバマ政権が10月に交渉をまとめようとしていることを紹介し、「今こそ、NAFTAのような協定はいらないと声を上げるべき。明日では遅すぎる」と訴えている。

連合内9産別が懸念訴え/政府のTPP交渉参加表明で/情報開示と国民的議論求める

 政府がTPP(環太平洋経済連携協定)への交渉参加を表明した3月15日、連合に加盟する9つの産別が連名で「懸念」を訴える声明を発表した。医療や、食の安全、政府調達、農産物、共済制度などさまざまな分野で「国民生活に対する懸念は払しょくされていない」と指摘。交渉内容についての情報をきちんと開示し、国民的な議論を尽くすよう求めている。
 9産別は以下の通り。  
 フード連合、国公連合、全国農団労、日教組、全水道、全労金、森林労連、建設連合、労済労連。

▼「連合方針に沿う声明」

 TPPをめぐっては連合内でも賛否が分かれる。

 2010年秋に突如TPPへの交渉参加が政治課題となるなか、連合は早期参加を求める方針を急きょ決定した。その後、食品や農業などの産別から異論が噴出。連合は11年末、8つの懸念事項を挙げ、必要な対策を求める対応方針を追加している。こうした経緯から、まとめ役の江森孝至・フード連合会長は「声明は連合方針に沿うものだ」と強調する。発表にあたっては連合本部と文面のすり合わせも行った。

 連名は、従来から連携してきたフード連合、農団労、全農林から、9産別に拡大。建設会社の労組でつくる建設連合も政府調達への影響を懸念し、声明に賛同した。「趣旨には賛同するが、組織事情で名を出せない」という産別も複数あるという。

 江森会長は「声明は一つのステップ。TPPは医療、金融、サービス、知的財産、政府調達など幅広い産業に影響するということが、まだ多くの労組に知られていない。米国議会が承認するまでの約90日間、交渉内容の情報を少しでも多く集め、意見交換していきたい」と話している。

                            

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