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2013年 2月18日

「給費制」復活求め、違憲訴訟へ 
元修習生200人超

3月にも6地裁に提訴予定

 法律家の卵である司法修習生に対し国が給与を支払う「給費制」が廃止された問題で、元修習生200人以上が給費制復活を求めて3月にも東京など6地裁で集団訴訟を行う。借金を強要する現行の貸与制は「人権侵害に当たり、憲法違反だ」としている。

▼「タコ部屋よりひどい」 

 司法修習生とは、司法試験に合格後、裁判官、検察官、弁護士になるため1年間の研修を受ける法曹志願者のこと。期間中は修習専念義務が課され、アルバイトは禁止される。2011年秋に貸与制に移行した。

 原告は昨年末に修習を終え、初めて貸与制が適用された元修習生たち。訴訟では、弁護士などになるために国が研修を義務付けて時間を拘束しているにもかかわらず、何ら生活を補償せずにお金のない人に借金を強要するのは、「人格権」(13条)や「生存権」(25条)などの侵害に当たると指摘。給与のある医師のインターンや防衛大学校の学生と比べても、「法の下の平等」(14条)に反していると争う構えだ。

 奨学金などの借金を抱える原告団長の尾崎彰俊さんは「金持ちと借金を抱える覚悟のあるギャンブラーしか法律家になれない制度でいいのか」と問う。日弁連によると、半数の修習生が既に奨学金などを借り、平均額は358万円。尾崎さんは「貸与制になったとき再び親に借金の保証人になってもらうのは申し訳なかった」と語る。「給費制継続を求める市民連絡会」の菅井義夫さんも「修習生を1年間拘束してお金を貸すのは、タコ部屋(過酷な労働を強いるための宿舎)よりひどい」と批判する。

▼市民の権利のために

 現時点では給費制復活の壁は厚い。これまで日弁連などの取り組みで10年に1年間延長させたが翌年、貸与制に移行。その後、政府は有識者のフォーラムで経済的に困難な人には返済を猶予することとした。今年1月末にはフォーラムに代わる「法曹養成制度検討会議」が開かれ、貸与制を維持する方向が確認されている。このままでは給費制復活は難しく、裁判で打開する道を選んだのだ。

 原告団は「お金よりも市民の権利を守ることをアピールしたい」という。借金まみれの弁護士が増えれば将来、市民が困っていてもお金にならない相談を敬遠する事態を懸念している。尾崎さんは「裁判を通じて貸与制の問題点を明らかにし、国民の理解を得ていきたい」と話している。  

                             

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