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2013年 6月29日

Q&Aで読む 2013参院選挙の争点

 Q いまやグローバル化時代。自由貿易を進めるTPP参加は当然じゃない?ん

●規制緩和が暮らし破壊

A 政府はTPP(環太平洋経済連携協定)参加で「10年後の国内総生産が3・2兆円底上げされる」と試算しています。でもこれは、関税をなくした場合の効果で、しかもマイナス面を過小評価しています。 実際のTPPでは関税撤廃に加え、医療や雇用、環境、食品の安全性などに関わるルール・規制が緩和される恐れがあります。

 その際の大きなテコになるのが「ISD条項」と呼ばれる規定。外国の企業と投資家が進出相手国の法律や規制で不利益を受けたときに、相手国を国外の裁判に訴える仕組みです。

 米国は日本の国内ルール・規制を目のかたきにしてきた経緯があり、ISD条項発動は現実の問題。安易にTPP参加を公約するのは問題ありです。                  

 Q 憲法96条を変えることがどうしていま必要なの?

●本丸・9条改憲に道

A 国民に改憲案を提案するには、衆参各院で総議員の3分の2以上の賛成が必要です。自民党や日本維新の会はこれを、2分の1以上に緩めようとしています。ハードルを下げて、戦争放棄を定めた9条を改憲するのが狙いです。 実際に自民党の憲法改正草案は9条で定めている「戦力の不保持」「交戦権の否認」を削除。国防軍をつくり、国際社会の要請があれば海外で軍事行動できるようにするといいます。つまり戦争参加です。 米国、ドイツ、韓国の改憲手続きでも3分の2条項が定められています。日本のハードルが高いわけではありません。
 96条を変えたい政党が議席を伸ばせば、日本の戦争参加が近づきます。平和を守る一票が必要です。
 Q 消費税の税率が上がると日本は良くなるの?

●景気冷え込みに拍車

A 逆です。庶民の暮らしを直撃して景気が冷え込むことになりかねません。

 とりわけ問題なのは、所得が低い人ほど負担感が重くなる「逆進性」。アベノミクスによる物価高、電気代値上げ、復興増税などで負担は増えています。この上、消費増税では生活は苦しくなるばかりです。

 企業も例外ではありません。大企業の下請けなど立場の弱い中小・零細企業は増税分の価格転嫁が厳しいのが実態です。倒産が相次げば失業者があふれ、税収は大幅に減少。財政再建やデフレ不況の脱却どころか、日本経済がさらに低迷する恐れもあります。

増税実施を判断するタイミングは今年の秋。夏の参院選挙は、増税を食い止めて暮らしを守る絶好のチャンスです。
Q 原発再稼働というけど「核のゴミ」はどうなるの?

●首相の考えは無責任!

A 原発を運転させれば、高レベル放射性廃棄物である使用済み核燃料が出てきます。政府は、青森県六ヶ所村の再処理工場で廃棄物からプルトニウムを取り出し、原発を動かす燃料として再利用する計画です。

 しかし、再処理工場は当初予定の3倍近い約2兆2000億円という巨額の建設コストを掛けながら、相次ぐトラブルで本格稼働は18回も延期。計画はすでに破綻しています。

 安倍首相は「原子力規制委員会が安全と確認した原発は再稼働させる」と繰り返していますが、核のゴミが一方的に増える問題には触れずじまい。各地の原発では使用済み燃料を保管できる量が限界に達しつつある中、無責任のそしりは免れません。
Q 株価も上がっているし、アベノミクスってやはり期待できる?

●株高はバブル。円安で生活は悪化

A 株価が上がったといっても、国内の消費や経済活動は停滞したままですから、一種のバブルです。長続きはしないでしょう。
 安倍首相は「デフレ不況」を退治するのだと言って、物価を2%上げようとしています。世の中に出回るお金を増やす政策が進められているのです。

 円安は、自動車などの輸出大企業にとっては確かにプラス。でも、いいことばかりではありません。輸入品の値段が上がります。食料や石油の価格上昇は、国内産業と国民生活にはマイナスです。既に原材料費の高騰で中小企業からは悲鳴が上がっています。

 働く者の収入増と中小企業支援で、国内経済を活性化させることこそ必要。小手先のアベノミクスでは強い経済は期待できません。
安倍政権の公共事業拡大ですが、震災復興に役立つなら認めるべきではありませんか?

●実は復興予算のネコババ!

A 自衛隊の風呂場の建て替えや税務署の改修、核融合の研究費などへの復興予算流用が明らかになったのは昨年夏。前野田政権は「被災地以外では津波対策と学校耐震化に限定」と軌道修正し、安倍政権もこの方針を引き継ぐと言いました。

 ところが政権発足直後に組まれた13兆円の大型補正予算。「復興・防災対策」を第一に掲げたものの、復興関連は1兆5800億円余りに過ぎません。被災地以外の公共事業も拡大し、果てはミサイル防衛の整備にまで大盤振る舞いです。今年度予算でも沖縄県内の国道整備を復興予算に潜り込ませるなど流用を続けています。

 震災復興を進めるには、流用を止め、不足している建設労働者と自治体労働者への支援こそ必要です。
「年収100万円」が当たり前になるって本当?
 
●雇用の規制緩和で現実味

A 格安衣料品大手「ユニクロ」の会長がそんな主張をしています。でも、あながち空想とは言いきれない事態が今、政府内で進行しています。

 安倍政権は「成長戦略」の中で、労働者を解雇しやすくするとともに、残業代を払わずに働かせ放題にできる制度の検討を始めています。いわば日本全体の「ブラック企業」化。リストラや健康破壊で、正社員は減り、低賃金で雇用が不安定な非正規労働者がさらに増えるでしょう。

 総務省調査では、今でも週35時間以上働く非正規・男性の半数超、同・女性の約7割が年収100万円台かそれ以下。自民党が伸びれば、働く者の状態は一層困難になるのが確実です。
■安倍語録 過去を反省できない言動ばかり

●第二次安倍内閣になって

→「(過去の侵略を反省した「村山談話」について)侵略についての定義は学界でも国際的にも定まっていない」(2013年4月)

→「(靖国神社参拝を中国、韓国から批判されて)わが閣僚はどんな脅かしにも屈しない。その(参拝の)自由は確保している」(2013年4月)

→「(前政権の2030年原発ゼロ方針について)ゼロベースで見直す」(2013年1月)

→「低廉で安定的な電力供給がないと(被災地の)復興は難しい。(原発再稼働は)総合的に判断する」(2013年3月)

●かつてはこんな発言も

→「(地震などによる原発の電源喪失の可能性について)日本の原発で同様の事態が発生するとは考えていない…復旧のシナリオを考えていない」(2006年12月)
→「核兵器を保有することは憲法の禁ずるところではない」(2002年6月、小泉内閣の内閣官房副長官時代)

◆戦前に日本が起こした戦争を、「本当に反省しているのか」と疑わせる発言が少なくありません。

 諸外国に迷惑をかけたことは謝罪しますが、侵略戦争だったと認めたくないのが首相の本音。当時戦争を推進したA級戦犯を含めて、日本は間違ってなかったと言わんばかりです。

 原発については2006年時点で「地震による事故は起きない」と言い切っていました。事故後にその不明を恥じるならまだしも、反省の弁はなし。事故収束のめどもたたないなかで、3年以内に再稼働させる考えを明らかにしています。

 反省できない首相とその政府に日本の未来を託すことはできません。