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難しい電力会社が持つ送電網と接続 |
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(下)消極姿勢変わらない電力業界 |
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電力業界で昨年、風力でつくられる電力を地域間でどれだけ融通できるかについて話し合うワーキンググループが複数回持たれた。参加者の一人だった風力発電の事業関係者は、仕切り役が「ここは(融通電力の)確認のワーキング。拡大するワーキングじゃない」と繰り返し述べていたのをよく覚えている。 この会合を開いた社団法人「電力系統利用協議会」には、新規参入組で再生エネ拡大に前向きな企業が多いPPS(新電力)も理事に名を連ねる。だが、市場を独占しながら原子力発電の維持を図る電力会社の意向は、相変わらず圧倒的に強い。 ▼接続妨げる独自ルール セリフを具体化したような独自ルールがある。 風力などの再生エネ事業者が電気をユーザーに送るには、電力会社が持つ送電網と接続することが欠かせない。風力の場合、事業者は電力会社との間で、計画段階や行政が環境アセスメントを始める時点から、接続に関する相談を行う取り決めがある。いざ運転を始める際に接続できる見通しがなければ、事業は成り立たないからだ。 ところが、北海道電力と東北電力だけは、長時間かかるアセスを経た上で出される「国の設備認定」を接続申し込みの条件としている。これでは、事業者は接続の確約を得られないまま計画を進めるデメリットを抱えざるを得ない。 事業者らは、両電力の条件に異を唱えて国に改善を求めているが、経産省資源エネルギー庁の答えは「法律違反ではない」。風力のポテンシャルが最も高い北海道と東北に設けられた新規参入を妨げる壁は、そのまま日本の風力発電量が伸び悩む要因となっている。 ▼広域運用の形見えず 風力を積極的に取り入れる「先進国」との差も大きい。 その一つであるスペインの需要電力に占める風力供給率は16・4%(2011年実績)で、日本の0・5%を軽く超える。それが可能なのは、再生エネを含む全電源の出力状況を監視するセンターをはじめとする、電力の広域運用システムが築かれているからだ。 センターでは、32~5時間前までの天気予測を元に出力調整の準備を整え、風が弱い日になると見るや、事業者サイドに対し、ガス火力などの出力を上げるよう指示。逆に強くなりそうな日は、火力を落として風力をフル活用する。これならば、再生エネを導入するときに必ず問題視される「お天気任せ」に陥る危険はない。しかも、各電源の出力状況や過去のデータはホームページでいつでも確かめられる。 日本では、政府が今年4月にようやく「広域運用機関を2015年をめどに設立」などとした改正電気事業法案が国会提出されたばかり。だが、肝心の役割は法案からは読み取れず、スペインのような出力調整の工夫や情報のオープン化が実現するのかは見えてこない。前出の「系統利用協議会」の単なる衣替えに終わる恐れさえある。 ▼蓄電池増設の盲点 国内では、再生エネの出力調整対策として蓄電池の増設が重視されがちだが、これにも盲点がある。自然エネルギー財団のトーマス・コーベリエル理事長によれば、スペインでは蓄電池は全く使われていない。風力事業者でつくる日本風力発電協会の斉藤哲夫企画局長もこう指摘する。 「蓄電池産業の育成を図る視点は良いが、蓄電池の寿命は長くても約20年。(夜間余剰電力で引き上げた水を昼間に落として発電する)揚水発電は60年ほど持つ」 どちらが優れたバッテリーなのかは言うまでもないだろう。 ▼事業者団体にも差 欧州では、電力会社自ら再生エネ専門の子会社を立ち上げ、その事業を成長させているケースが多く見られるという。それを後押しする事業者協会のスタッフも完全なプロ集団で、業界団体の大きな役割である広報活動も充実しているそうだ。一方で、日本風力発電協会は「プレスリリースなどマスコミへの働きかけもしてこなかった」。今後は活動を強める方針というが、こんな点からも先進国との差を知ることができる。 |
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