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拡大の仕組みづくりに本腰を |
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価格見直し議論始まる |
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昨年7月にスタートした再生可能エネルギー固定価格買い取り制度(FIT制)について、来年度(4月から来年3月)の買い取り価格を決める経済産業省の算定委員会の議論が1月21日から始まった。価格決定にとどまらず、再生エネ普及を図れる仕組みをどう育てていくのかが議論されるべきだ。 ▼太陽光が9割占める FIT制は太陽光、風力、中小水力、地熱、バイオマスでつくられた電気を電力会社がすべて買い取る代わりに、そのコストを料金に「賦課(ふか)金」として上乗せし、利用者が負担する仕組み。経産省資源エネルギー庁によると、昨年4月から11月末までの時点で運転を始めた再エネ発電施設は計144・3万kW(キロワット)分で、およそ原発の1・4基分。同庁が見込む今年3月末まで250万kWを超える勢いだ。 ただし、各種のバランスは取れておらず、太陽光が9割以上を占めているのが現状だ。このため、経産省は太陽光の買い取り価格を現在の42円から5円程度下げる一方、その他は据え置きにする意向だ。新たな価格は3月中に決まる見通し。 ▼電力会社が接続拒否 運転開始分とは別に、国の認定を受けた設備はすでに計364・8万kWに達しているが、3月までに運転開始に至らないものが多い。電力会社が接続を拒否しているのが背景にあるとみられ、公益財団法人「自然エネルギー財団」による再生エネ事業者へのヒアリング結果でも拒否されたケースが目立つ。 制度を定めた「再生エネ特措法」の第5条には「電気の円滑な供給の確保に支障が生じるおそれがあるとき」は拒否できるとあり、経産省の施行規則でも「電力会社は送電できる量を超えた場合」はそれを認めている。しかし、電力会社は送電量に関する情報をほとんど出しておらず、拒否が妥当なのかは確かめられないのが実態だ。政府は、情報公開を促し公平な接続が保たれているかをチェックする役割が求められている。 ▼値上がり懸念を疑え FIT制の先進国であるドイツでは、買い取り価格上昇による料金値上げが起きたことから、日本でも同様のケースが起きる点が心配されている。懐疑的な大手紙では「再生エネはコストが高い」と原発維持の理由に挙げる記事もしばしば目にする。 しかし、東京電力管内の賃貸マンション(約50平方メートル)に住む共働きの夫婦2人の世帯では、昨年7月から今年1月までの賦課金は月30~60円台で、缶コーヒー1本分にも満たない。現在の買い取り価格は、再生エネ利用拡大のために事業者へ有利に設定されており、普及が進めば、将来的には買い取り価格は下がり、その結果賦課金も抑えられそうだ。 それより問題なのは、価格決定の時期が年度開始のぎりぎりになる点。これでは、事業者はあらかじめ計画を立てて売電することができず、再生エネの発電量が伸びないという悪影響が出てしまう。これらの制度に対する懸念をなくすため、自然エネ財団は「政府が将来の再生エネの導入目標を掲げ、それを元に毎年の導入量の目安を定めるなど、中長期的な見通しを示すことが欠かせない」と提言している。 ▼政権、電力改革怠る? 再生エネ普及に向けては、接続拒否の事例から分かるようにFIT制だけでは不十分。電力会社の発電と送電の部門を分ける発送電分離をはじめとする電力業界の改革が待たれるところだ。 経産省の「電力システム改革専門委員会」は、2月中にも発送電分離を求める案を出すが、安倍政権は法案化の方針をいまだに打ち出していない。電力改革を進めずして「再生エネは普及できない」と原発維持に傾く展開は愚の骨頂で、改革を怠るなという世論を巻き起こす必要がありそうだ。 |
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