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2013年 5月14日

稚拙な審議で成立させてはダメ 
共通番号法案衆院で可決

懸念増えるばかり

 政府が2016年導入を目論む「共通番号制度法案」が5月9日、衆院本会議で可決されました。報道によれば、法案は参院で月内に可決され、成立する見通しです。しかし、衆院の審議では多くの疑問について議論は深まらず、むしろ制度への懸念は増しました。疑問点を挙げていきます。

▼当初の目的消えた?

 共通番号制では、赤ちゃんからお年寄り、在住外国人まで一人一人に番号を記したICチップ付きカードを配り、個人情報をまとめて管理します。

 政府はこれまで制度導入の理由を「税と社会保障のため」と説明してきましたが、法案の目的を定める第1条には、当てはまる言葉はなし。代わりに書かれているのは「行政機関や地方公共団体の行政事務を処理する者が(中略)迅速な情報の授受を行うようにできるようにする」。国民の都合よりも行政の利便性を追求しています。

▼違憲そのもの?

 番号によって、行政機関はコンピューターから市民の個人情報を呼び出すデータマッチングが可能に。しかし、同じくプライバシー侵害に触れるか否かが争われた住基ネット裁判で、最高裁は「データマッチングを目的にしたシステムであれば違憲」と判断しています。番号制は違憲の疑いがあるのです。

▼費用対効果は?

 政府は、制度の初期投資に最大3000億円かかり、毎年の維持経費にも最大300億円必要と見込みます。一方で巨額なコストに見合う効果について、責任者の甘利明担当大臣の国会答弁は「行政効率効果だけでなく国民の利便性等々あるんだと思う」とあいまいでした。「財政が厳しいから消費増税」と言いつつ、無駄使いの疑惑がかかる制度を始めてよいのでしょうか。

▼わざわざ情報漏えい?

 先に番号制を導入する米国や韓国では、個人情報の流出が続出。他人が番号を不正取得し、成り済まして借金するなどの犯罪は絶えません。日本でも同じ危険にさらされるはずですが、政府側は情報流出や成り済ましは100%防げないと認めました。番号に載るのは、社会保障や税金など究極の個人情報であることを忘れたかのようです。

▼問題挙げればキリなし

 「政府が可能とする各世帯の所得把握は本当か」「警察や検察は捜査名目に番号から無制限に情報を得るのでは」「導入前に番号を通知する紙のカードが本人に届かず悪用される」――。番号制への疑問は尽きません。
 参院は「良識の府」のはず。議論を通して問題をクリアできなければ、廃案する判断が求められます。
                         

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