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「三本の矢」いずれも的を射ず |
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アベノミクスを厳しく批判 |
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神戸大学の二宮厚美名誉教授は3月17日に都内で講演し、安倍首相が掲げるデフレ脱却への経済対策である「アベノミクス」を批判した。政策の柱とされる大胆な金融緩和、財政出動による公共事業拡大、成長戦略の「三本の矢」はいずれも的を射ることはできないとし、「デフレ克服にはつながらない」と指摘した。 ▼お金は市中に回らず 金融緩和では、物価を上昇させるため日銀が銀行から国債や株式、社債などを買い入れ、現金の供給量を増やす。ところが、二宮氏は「日銀ができるのはそこまで。銀行のお金が世の中に出回るためには、多くの人が住宅や自動車のローンを組むくらい所得が上昇する見通しがなければいけない」という。 安倍首相は今春闘で財界に労働者の報酬アップを要請したが、大半の企業では「一時金・賞与の増額で済まされた」。さらに「大企業は実質的に無借金経営で、トヨタやソニーは金があまって銀行をやるくらいだ」と指摘。大企業は銀行からの融資を必要としていないと述べたうえで、「銀行は中小企業や庶民にはお金を貸さない。お金は世の中に出回らず、株などの投機に向かうため庶民の暮らしは良くはならない。矢は途中で止まることになる」と語った。 ▼「成長戦略」は愚策 財政出動によって、道路や河川、公園の防災対策など大規模な公共事業が行われる。二宮氏は「全くムダとは言わないが、デフレは国民の消費需要が落ちていることが原因だ。公共事業がいくら盛り上がっても国民には届かない。矢は的に当たった瞬間に落ち、貫くことはできない」と切り捨てた。 とりわけ懸念したのは成長戦略だ。現在、政府は企業の競争力強化を口実に解雇規制の緩和などを検討している。「世界に市場を広げてモノをどんどん売ろうとしている大企業の競争力を強化しても、内需は不振のまま。労働市場の規制緩和によって労働者の低賃金化が一層進む」と一刀両断。「成長戦略の矢は完全に的を外しており、ブーメランにように返ってきて自分の首に刺さる。アベノミクスはデフレを克服できない」と批判した。 講演は、構造改革に対抗して福祉を中心とした新たな社会づくりをめざす「福祉国家構想研究会」(共同代表・岡田知弘京都大学教授ら4人)が主催した。(連合通信) |
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