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津波対策はあくまで事業者の自主努力と認識次第 |
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「メルトダウン」する新規制基準 |
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押し問答がひたすら続いていた。 「ですから、何度も繰り返しています通り…」 「イエスかノーで答えてください。3、4号機は適合しているんですか」 原子力規制委員会の事務方である規制庁と脱原発の市民グループは、6月21日に国会内で交渉した。 市民側が尋ねたのは、「大飯原発3、4号機の現状は新規制基準に適合しているのか」。これに対し、規制庁の官僚は運転継続方針を固めたことを伝えるばかりだった。安全性や根拠を曖昧にしたまま、運転が続けられようとしていることに、会場の空気は憤りと失望感がないまぜになった。 ▼規制委は責任放棄? 7月8日施行の新規制基準は、事故が起きた際の作業拠点として、緊急時対策室(免震棟)を設けるよう義務付けた。これに対し、関西電力の対策は「2015年中に完成するまでは1、2号機の会議室を代用する」。会議室には免震機能がなくてはならないはずだが、規制庁側は交渉の中で「分からない」と手抜かりを認めたにもかかわらず、「新基準の要件は満たしている」と強弁した。 新基準では、津波対策として防潮堤を必ず築くよう求めているが、大飯の現状は「来年3月の完成予定」。市民たちがこの点を追及すると、規制庁側はこんな珍回答をしてみせた。 「大飯の想定津波は約3メートル。一定の高さに止まる場合には(設置は)必須ではない。津波は想定できない部分もあり、事業者に対策の裕度(許容範囲)をたくさん取るよう求めている。しかし、その対策はあくまで事業者の自主努力と認識次第だ」 これでは、せっかくの新基準を自ら「メルトダウン」させているに等しい。規制する責任を放棄したともいえる。 ▼ダブルスタンダード 規制庁側がさらに苦境に立たされたのは、大飯の評価会合で出された「適合性は新基準施行後に審査する」とした一文についてだ。これを素直に読むと、7月8日から9月にも始まる定期検査まで運転を継続する法的根拠は見えなくなってくる。 当然、市民たちはこの矛盾を問いただしたが、規制庁側はその一文を反復するのみで最後まで答えようとしなかった。その一方で、昨年9月の公の場で、規制委の田中俊一委員長が「原発立地市町村に防災計画ができてなければ再稼働なんて考えられない」と発言した件については、「防災計画の策定は再稼働の法的要件ではない」と打ち消そうとした。運転継続の法的根拠が答えられないのに、防災計画は稼働の法的要件でないとする姿勢。市民からは「ダブルスタンダード(二重基準)だ」と非難が集まった。 ▼悪い先例つくる 評価会合は「敷地内の破砕帯が活断層か否か」という安全にかかわる最重要問題も先送りにした。交渉に参加した市民の一人は「他の原発の再稼働を審査する時に『大飯がよくてなぜうちはだめなのか』と思われる」と懸念する。施行後に始まるであろう再稼働審査の前に、規制委は率先して悪い先例をつくってしまったようだ。(連合通信) |
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