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「ママだけの問題じゃない」 |
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〈保育問題インタビュー〉 |
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今年に入って、認可保育所に入れなかった子を持つ母親たちによる自治体への異議申し立てが相次いでいる。今直面する保育所不足はなぜ起きていて、母親たちは何を望んでいるのか。東京・足立区で認可保育の設立を求めて活動する「保育所つくってネットワーク」代表の斉藤真里子さん(38)に話を聞きました。 ○ 「働きたいのに、どうして保育所不足で仕事を奪われるのか」──。これが、私が「つくってネット」の活動を始めたきっかけです。 私には現在、2歳9カ月になる男の子がいます。2010年8月に出産後、職場復帰のため3つの認可保育に入所を申請しましたが、全て入ることができず、仕事を失う焦りと怒りを感じました。 認可外の保育所にも9件当たりましたが、「38番目」「23番目」といった順番待ち。当時、区内には待機児童が1000人以上いたにもかかわらず、認可保育所が増設される予定はゼロ。「もっと早く保育所を探していれば」と考えましたが、平日は仕事でクタクタ、真夏の出産だったため、とてもそんな体力はありませんでした。私は運よく認可外に滑り込み、翌年に認可保育所に入ることができましたが、区内の待機児童は依然として解消されないままです。 11年に始まったネットの活動では、街頭署名や区議会への陳情などを行っています。今年は、ネットとつながった別のグループが区に異議申し立てを行い、私たちと一緒に政府の規制改革会議に意見書を提出しました。 ▼認可保育に安心感 母親たちの多くが認可保育を希望する理由は、職員の配置人数や施設の広さなど国が定めた最低基準が守られている安心感があるから。一度入所できれば修了するまで入ることができます。一方、認可外では、例えば東京都独自の基準をクリアした区内の「認証保育」は通える年齢が0~2歳までで小規模なものがほとんど。3歳になるまでまた「保活」をしなければなりません。妊娠中や小さい子どもを連れての保活はつらいものです。 お金の面でも、認可の方が保育料は低く抑えられています。しかし、認可はただ申請するだけでは入れません。フルタイムで働いたり、育児休暇を切り上げたりするほど入りやすい仕組みになっていますが、それでも入れない人が大勢います。ある母親は3人の子どものうち2人が認可に入れず、フルタイムの仕事からパート勤務にならざるを得ませんでした。収入が下がった上、認可外の高い保育料を支払うことになるのです。 足立区では、大規模なマンション開発で子育て世代の転入が相次いでいます。区は住民の声の高まりを受け、今年から2015年までに認可保育所を計5カ所設置することを決めましたが、これ以上の増設は慎重です。定員が足りず、みんな不満を抱えています。もっと認可保育を増やすべきです。 ▼基準緩和は子どもに危険 政府の中では今、待機児童の解消に向けて民間企業がより参入しやすいよう認可保育の設置基準の緩和などが議論されています。何もしないよりも改善に向けて動き始めたことは評価できますが、肝心なのは中身。子どもの安全にかかわる基準を緩和してはいけません。 安上がりの保育では、子どもが危険にさらされることに気付いてほしい。企業は利益を追求するものです。人件費を削って保育士を減らせば、子どもに目が行き届かなくなります。実際、死亡事故も増えています。保育の質に差が生まれ、お金のある人しか良い保育に行けなくなってもいいのでしょうか。私たち大人は子どもに安心、安全で平等なスタートラインを保障しなければなりません。それこそ国や自治体でなければできないことです。日本は国がもっと子育てにお金を使うべきです。 ▼保育充実が社会良くする 保育は決してママだけの問題ではありません。保育所が足りないことで妻が仕事を失えば、住宅ローンの返済など将来設計が狂う人も出てきます。2人目以降の子どもをつくりたくても諦める家庭もあります。 「つくってネット」には父親も数名参加してくれています。認可保育所が増えて、働きたいと思う女性が働ければ、国の税収や消費も増えて経済成長をもたらすはずです。保育の充実が社会全体を良くしていくという視点で議論を深め、政策の実現につながればいいなと思っています。 |
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