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「住民軽視の行政変えたい」 |
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直接請求したグループ共同代表 水口和恵さん |
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東京都小平市での都道建設をめぐり、5月26日に都内で初の直接請求による住民投票が行われたが、今も結果どころか開票さえ始まっていない。市側が、開票の条件とした「投票率50%」に届かなかった点を盾に拒んでいるのだ。直接請求した住民グループ「小平都市計画道路に住民の意思を反映させる会」の共同代表、水口和恵さん(51)=写真=に現状に対する思いを聞いた。 ▼時代錯誤な対応に憤り 生態系豊かな雑木林を伐採してまで必要な道路なのか――。計画の不合理さを感じたことが、運動の出発点でした。 2009年から翌年にかけて、思いを同じくする約50人の市民とともに、都や市へ見直しを求める署名を出しました。ところが、市は「都の事業だから権限がない」と言い逃れ、都は「計画は決まっている」の一点張り。地元住民の意見を軽視して建設を進めるなんて、時代錯誤で民主主義の国のやることじゃないと憤りを覚えました。 行政がまともに取り合わないのは「一部の少数住民」とみなされているからと、私たちは考えました。そこで、市民全体の意見を示そうとたどり着いたのが、住民投票だったのです。 住民投票を直接請求するには、わずか1カ月間で有権者の50分の1の署名を集める必要があります。請求できたとしても、議会で否決されれば投票は行われません。最初は不安でしたが、実際に署名集めを始めると次々に賛同者が現れ、カンパも寄せられました。 ▼5万人の意思捨てる市 市長に条例制定を直接請求した後、議会が条例案を可決し、住民投票実施が決まりました。ところが、小林正則市長は「投票率50%未満だと住民投票は不成立」とする条例改正を持ち出し、自身が投票に行くかどうかも明言しませんでした。市報の特集記事には今年度中に建設着手する予定が書かれるなど、市側は「仕方ないから投票をやる」という姿勢が見え見えでした。 そんな状況で、私たちのグループは市民に投票へ行くよう連日呼びかけました。反応は悪くなかった一方で、建設計画地から離れた地域の住民に問題を正しく理解してもらうのは難しかった。結局、投票率は35・17%にとどまり、無効となりました。 市は今、約5万1000人の票を開けることなく処分しようとしています。私たちが住民投票を求めたのは、道路計画に対する市民の意向を都や市に知ってもらうこと。「無効だったから知る必要がない」という態度は、有権者を侮っていると言わざるを得ません。 ▼小平だけではない 私たちは、投票結果を明らかにするよう求めた情報公開請求を、市の選挙管理委員会が「非公開」としたため、異議申し立てを行いました。結果が出るまで2、3カ月掛かるので、保管期間の90日間を経て、市が投票用紙を処分してしまうことを非常に心配しています。都も国に出した事業認可申請を取り下げようとせず、国土交通省も私たちが認可しないよう求めても「地方自治の時代だ」などと聞く耳を持ちません。 都内では小平市だけでなく、西東京市や杉並区などでも住民の声を無視したまま道路建設の手続きが進んでいる事例があります。おそらく全国各地で同じような事態が起きているのでは。われわれ市民は、首長や議員を選べるだけで、行政にはかかわれずにいる。これでは本当の民主主義とはいえません。市民がもっと声を上げなくては、社会は良くならないと強く感じています。 ■<メモ>小平市住民投票をめぐる動き 1962年に決定した都道計画の見直しの是非を決めようと、住民グループ「小平都市計画道路に住民の意思を反映させる会」が昨年12月から有権者の署名集めを開始。今年2月に7183筆を集めて直接請求し、3月に市議会は住民投票実施条例を可決した。その後、小林正則市長が「投票率50%未満は無効」とする要件を追加。投票は5月26日に行われ、投票率35.17%で不成立に。住民グループは市に投票結果の公開を請求したが、6月2日付で「非公開」が通知された。 |
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