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新たな治安維持法の恐れ |
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ジャーナリストらが指摘 |
「特定秘密保護法に反対する表現者と市民のシンポジウム」(実行委員会主催)が11月24日に都内で開かれ、作家やジャーナリスト、学者、弁護士らが「戦前の治安維持法になりかねない」と警鐘を鳴らした。(文責・連合通信編集部) ▲あまりに拙速/テレビキャスター 田原総一朗さん あまりに早すぎる。審議をすればするほど反対運動が高まるからだろう。秘密保護法制には反対ではないが、この法案は危険だ。 一つは秘密の定義がないこと。官僚の恣意(しい)的な考えで秘密がどんどん決められる。米国をはじめどの国にもあるチェック機関が、日本にはない。次が(特定秘密について)記録をとらないこと。原案は30年で公開としているが、記録がなければ公開のしようもない。 「悪質な取材」には最高10年の懲役刑が科される。私たちはオフレコを前提に政治家に見解を聞き出して矛盾をつき、「国民の前で本当のことを話すべきだ」と迫る。この行為が「脅迫」にされかねない。 不適正取材とされる西山事件は、日本政府が沖縄を売り渡す機密文書を報じたものだった。政府は未だに隠し続けている。政府が隠したいことを認めさせることに法案の狙いがある。 ▲治安維持が目的/ジャーナリスト 青木理さん 法案を作成した事務局は内閣情報調査室。陣容を見れば公安警察トップの出先機関と言っていい。外交・防衛のため(の秘密保護)というが、警察関係に一番使い勝手がいい法律になっている。 「テロ対策」の名を付ければ、ありとあらゆることが秘密にされかねない。法案により、一番強化されるのは治安維持。言葉遊びではなく、本当に新たな治安維持法になりかねない。 ▲主体は公安警察/上智大学教授 田島泰彦さん 1980年代に検討された「スパイ防止法」は防衛とそれに関わる外交上の秘密が対象だったが、今回は違う。「特定有害活動」やテロ防止など、内政全般に及んでいるのが特徴だ。 主体は公安警察。ここが防衛・外交と肩を並べて、国家秘密の担い手として前面に出てきたことは大きな意味を持つ。そして、秘密に指定されるのは(国家機密ではなく)市民に一番近い情報でもある。 今回は刑罰だけでは不十分だとして秘密の管理にも規制をかけようとしている。内心の部分にまでチェックをかけようとしているのではないか。 提案の背景に、米国との情報共有というファクターが強まっていることも前回とは違う点。軍事だけでなく、関連情報の保護も射程に入れた。単なる一つの立法の問題ではなく、この国をどうするかという問題となっている。 ▲国家機密の保護とは別物/日弁連秘密保全法制対策本部事務局長 清水勉さん 法案はこのデジタル化の時代に、紙ベースでの情報の管理を前提に検討されていた。そのため、電子データを基盤とする管理の仕方とは全く違っている。 米国は(情報のインターネット拡散など)日本のルーズな情報管理を問題にしているだけ。公的な情報の管理ルールとチェックする仕組みが必要なのに、人間不信と社会不安を強める19世紀的な法律をつくるとは本当に恥ずかしい。 なぜ、人間を管理し処罰する意味があるのか。日弁連としては提案された法律に意味があるかないかをまず考え、意味があると考えれば人権をどう守るかについて知恵を絞る。しかし、法案はまったくとんちんかんで意味がない。 テロリズムの定義を見ても、国際テロ組織をどうするかというものではなく、住民を監視する内容となっている。ガサ入れしてブツを入手してデータを取り、必要な時に弱みとして利用すればいいという意図が見える。 法案は国家機密の保護とは全く別物で、市民生活を破壊するものであることをぜひ知ってほしい。 ▲ファシズムの危機/精神科医 香山リカさん 審議入りした時点で、多くの人に秘密を漏らすのはやばそうなことだという印象を植え付けることができ、法案の目的を達成できたのではないか。深く知ろうとせず、面倒くさいことに関わりたくないと、口をつぐむ人、委縮する人、思考停止に陥る人がどんどん出てくるように思われる。 ドイツの政治学者、ノエル・ノイマンの仮説「沈黙の螺旋(らせん)」で、社会の同調圧力の強まりにより、人々が自主的に口を閉じていき、ファシズムが完成するという見方だ。このようにならないよう訴え続けるしかない。 ▲偽装修正だ/評論家 佐高信さん 安倍晋三は日本の北朝鮮化を狙っているのだろう。国会ではみんなの党や維新の議員がウロウロして修正協議をしているが、あれは完全に「偽装修正」だ。 問題は公明党にどう働きかけるかだ。あの党は世論の動向に非常に敏感で、それだけで動いているとも言える。また、弁護士出身の谷垣法相はかつてスパイ防止法に反対していたはず。私はその個人責任を追及していきたい。 |
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