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2013年11月25日

何が秘密かそれは秘密です
こんなに危ない4つの問題

それでも必要?秘密保護法案

(1)集会発言でも逮捕?/共謀、教唆、扇動を処罰

 秘密保護法案の罰則の対象は、秘密を漏らした場合に限りません。秘密を知ろうと共謀、教唆(他人をそそのかすこと)、扇動(大衆に行動を起こさせるための呼び掛け)をした場合も最大5年の懲役が科せられます。被害がなくても国民を逮捕できるのです。

 とりわけ共謀罪は、実行しようと合意しただけで処罰するもの。実際に合意があったかどうかの線引きは難しく、例えば「原発の情報を公開させよう」「政府は密約を明らかにすべきだ」と話し合いをしただけで、犯罪を企てたとして逮捕されます。

 教唆や扇動も危険です。集会で「情報公開請求をしよう」と呼び掛ければ逮捕されます。言論・表現の自由が奪われ、まさに戦前の治安維持法下の暗黒社会に逆戻りしてしまいます。

(2)弁護不可能でほぼ有罪/証拠秘密のまま裁判

 万が一、秘密を不正に知り得たとして逮捕された場合、無罪を勝ち取るのはほぼ不可能でしょう。何が秘密なのか証拠が隠されたまま裁かれるため、弁護のしようがないからです。

 刑事裁判は、法廷で適法に調べられた証拠にのみ基づいて有罪か無罪かを判断するのが大原則です。ところが法案は国民に秘密を公表しないのが前提。同法違反で処罰しようとすれば、そもそも裁判が成立しないのです。仮に裁判官ら関係者にのみ秘密を公開した場合でも二審、三審に進むにつれ秘密を知る人が増えていく、おかしな事態になります。
 裁判の外では、「スパイだ」「非国民だ」との偏見も生まれます。秘密を漏らした人間は社会的に抹殺されてしまうでしょう。

(3)民主主義機能せず/真実言えない国会議員

 国権の最高機関、国会の運営も危うくなります。外交や防衛など国の安全保障に関する情報が国会に知らされず、政府が独占してしまうからです。

 例えば米国からテロ活動に関する重大な情報が政府に寄せられ、衆議院の安全保障委員会で必要な対策が審議されたとします。委員会所属の国会議員は秘密を知ることになりますが、いったん政党に持ち帰って検討しようとすれば、秘密の漏えいに当たり逮捕。秘書に相談したり、専門家に意見を求めたりするのもアウトです。これが軍事情報なら、一握りの政治家・官僚の判断で戦争に突入する危険性が現実味を帯びます。

 秘密が公開されない限り、情報の真偽や対応策の妥当性を国会で議論することはできません。民主主義の根本が否定されます。

(4)飲酒や病歴を調査/家族、恋人も対象に

 秘密を取り扱う人間に対し、秘密を漏らさないかどうか「適正評価」と称する身辺調査も問題です。

 法案に明記されているだけでも、(1)テロやスパイ活動との関係(2)犯罪・懲戒の経歴(3)情報の取り扱いに関する違法な経歴(4)薬物乱用の有無(5)精神疾患(6)飲酒の習慣(7)経済状況──の7項目。防衛省、外務省、警察庁などの職員だけでなく、秘密を取り扱う民間企業の社員や研究者も対象です。他人に知られたくない病歴や借金まで調べるのは、プライバシー侵害です。

 さらに家族や同居人の氏名、生年月日、国籍も調べられます。妻が中国人だった、うつ病の通院歴があるというだけで差別される事態も予想されます。国家の秘密のためなら、国民の人権も侵害する、そんな政府の姿勢が垣間見えます。
 

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