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2013年10月 3日

   「特定秘密」理由に処罰も
人気女優も懸念

秘密保全法案

 国民の一人としていかがなものかと心配しています──政府が秋の臨時国会で提出する「特定秘密保全法案」に危機感を募らせるのは、女優の藤原紀香さん。自身のブログに記しました。国民の知る権利や報道の自由が危ない。

▲違反は10年以下の懲役

 秘密保全法案は、国の安全保障に関わる(1)防衛(2)外交(3)外国の利益を守るための安全脅威活動の防止(4)テロ活動の防止──の分野で、機密情報の保護を定めています。「特定秘密」を故意または過失で漏らすことや、不正な手段で入手した場合、10年以下の懲役が科せられます。対象には、機密情報を取り扱う公務員以外にも防衛省と取引する民間企業の会社員や関連分野の研究者も含まれます。

 法制化の背景には、2010年9月に発生した尖閣諸島沖中国漁船衝突事件の映像が動画投稿サイトに流失したことがあります。それをきっかけに政府が法制化を検討していました。

▲原発やTPP隠ぺいも

 しかし、法案には問題点が多くあります。まず「特定秘密」があいまいで何が秘密なのか一切明らかにされません。例えば、原発や放射能汚染、TPP(環太平洋経済連携協定)など政府にとって都合の悪い情報を「特定秘密」に指定すれば隠ぺいできます。真実をインターネット上に書き込むのも処罰の対象です。

 当然、マスコミの取材活動も影響を受けます。不正や政府の戦争政策などを暴こうとした記者が逮捕され、報道機関が捜査を受けることに。報道の自由と国民の知る権利が失われることになります。

 秘密を取り扱う公務員についても海外渡航や借金の有無、精神疾患の病歴ばかりか友人関係までもが調査されるのです。

▲わずか2週間

 こうした問題点に対し日弁連や日本新聞協会、労働組合は反対の声をあげています。ところが、パブリックコメントの募集はわずか2週間。藤原紀香さんはブログに「こんな大切な事柄なのに」「日本は民主主義国家でなくなってしまうのかな」とつづっています。

 今でも公務員には守秘義務があり、違反には罰則があります。秘密保全法は必要ありません。むしろ国民が不安を抱く原発の安全性や放射能汚染など情報公開を徹底する仕組みこそつくるべきです。

戦前もあった秘密保全法

 太平洋戦争の開戦当日である1941年12月8日朝、北海道帝国大学の男子学生が旅先の様子を英語講師の米国人夫婦に話したために逮捕されました。

 戦前の日本には「軍機保護法」があり、軍事上の情報を会話することが禁止されていました。男子学生も違反の容疑で網走刑務所に収監。戦後に釈放されたものの肺結核のため27歳の若さで亡くなりました。
 

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