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2013年 6月24日

大飯原発、運転継続へ
規制委が判断 

「安全上重大な問題ない」

 国内で唯一運転中の関西電力大飯原発3、4号機(福井県)が新規制基準の求める安全性を備えているか確認する会合で、原子力規制委員会は6月20日、「直ちに安全上重大な問題が生じるものではない」とする評価書案をまとめた。月末にも正式決定する。3、4号機は、9月に予定される定期検査入りまで稼働が続く見通しとなった。

▼新基準適合は改めて審査

 大飯原発の評価会合は4月に始まり、12回にわたって地震・津波対策や、原子炉損傷といった重大事故対策などを確認。6月15日には規制委員が現地に赴いて、関電が可能とする対策の信ぴょう性を調査した結果、運転継続を認める判断を下した。

 評価書案には「本評価は新基準施行前の現状評価であって、適合性は今後、改めて確認する」と明記された。関電は、9月の定期検査で3、4号機が停止する前にも再稼働申請を提出する構え。規制委は申請を受けて稼働の是非を改めて審査するが、更田豊志委員は「今回の評価結果には縛られない」と強調した。

 実際、7月8日に施行される新基準に照らすと、いくつかの部分で「落第」している。例えば、敷地周辺の地下構造について、新基準は三次元的(従来と異なる視点)に把握するよう求めていたが、今回は事実上棚上げされた。

▼最低線探った関電を批判

 20日の会合で、規制委側は関電の姿勢を問題視。「対策を小出しに提案して、新基準を満たす最低線を探ろうとするかのようだった」と指摘し、「新基準施行後の審査を効率的に進める上で障害になる」と批判した。これに対し、関電の担当者は「決してそのような意図はなかった」などと弁明した。

解説関電攻め立てたのはポーズ?規制委の大飯原発評価/「新基準の適合性」どこへ

 「本評価は、新規制基準施行前の現状評価」「新基準への適合性については、今後、…改めて確認する」
 原子力規制委員会が6月20日にまとめた大飯原発3、4号機の現状評価書案は、こんな書き出しから始まっている。だが、今回の会合は本来、大飯原発が新基準に適合しているか否かを審査する場だったはずだ。

▼合格ライン変える

 そのような審査であると「誤解」したのは、関西電力も一緒だったようだ。会合に先立ち、4月に「新基準を全て満たす」とする報告書を提出していたことからもうかがえる。規制委も会合では、新基準を満たしていない対策を次々と挙げ、関電にその都度改善を求めてきた。

 ところが、評価書案が示した運転合格のラインは「新基準適合」ではなく、「直ちに安全上重大な問題が生じるか」だった。規制委がこれまで新基準への適合を求め、関電を攻め立ててきたのは、単なるポーズだったのか。

▼これでは「再稼働庁」だ

 46ページに及ぶ評価書案の中には、「新基準の要求を『おおむね』満たす」との表現もある。これでは「新基準不適合でも運転に支障はない」と述べているのに等しい。新基準施行の7月8日以降、電力各社から再稼働を求める申請が相次ぐとみられるが、審査する規制委自らが恣意(しい)的な判断を加える余地を残したといえる。

 「再稼働庁に改名したらどうですか」。20日の会合終盤、傍聴する市民から抗議する声が飛んだが、確かにこのような組織が厳正な態度で審査に臨めるかは疑わしい。

                    

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