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2013年 9月 9日

    筋書き通りの「活断層なし」
大飯原発の破砕帯調査

再稼働審査への悪影響懸念

 関西電力大飯原発(福井県)の重要施設「非常用取水路」直下にある破砕帯について、原子力規制委員会の有識者調査団は9月2日、「活断層ではない」との見解を取りまとめた。しかし、調査の手法や結論までの過程について、市民からは「筋書き通りでは」という疑念や批判が噴出している。規制委がこれから始める3、4号機の再稼働審査への悪影響が懸念される。

▼スケジュール優先

 「それは重要な論点ではない。今日中に結論を出したいので先に進む」

 2日の有識者会合で、規制委の島崎邦彦委員長代理は、問題となった断層(F―6)の位置について、なお関電に意見を求めようとする渡辺満久委員をさえぎった。

 非常用取水路直下の破砕帯が活断層ではないとする決定打となったのは、関電が敷地南側で実施した掘削調査の結果だ。関電は、破砕帯を「F―6の一部」と主張し、規制委も火山灰の状態などから活動性を否定した。

 今回の結論は、見つかった破砕帯がF―6であることを前提にして成り立っている。だが、そもそもF―6が関電の予想と異なる場所で発見されており、島崎氏が求めてきた「科学的根拠」を満たしているとは言い切れない。このため、会合を傍聴していた市民は「証拠が不十分」「もっとトレンチ掘削で確認すべき」との声が上がったが、島崎氏らは一顧だにしなかった。

▼「関電に調べさせるな」

 「利害関係がある関電に調査させること自体、法律家からすれば信じられない話。自分たちに有利な結論になるに決まっている。まったくナンセンスだ」

 脱原発弁護団全国連絡会の河合弘之弁護士は8月30日、規制委自ら掘削調査を行うよう求める3145筆の署名を規制庁職員に手渡した後、記者会見でこのように批判。「規制委はお金や手間を惜しまず、自ら調査すべき」とも述べた。

 大飯3、4号機の運転差し止めの仮処分を大阪高裁に申し立てている武藤北斗さんも会見に出席。大阪地裁が4月、事業者である関電の言い分を全面的に認める判断を下したことを説明し、「事業者の好き勝手を許している現状は、安全神話の再生を意味する」と強調。「規制委が形骸化してしまえば、再稼働審査が無意味になってしまう」と憂慮した。

▼再び原発ゼロだが…

 大飯3号機は9月2日夜に定期検査に入った。唯一稼動中の同4号機も15日に定期検査入りする予定で、日本は昨年7月以来、改めて「原発ゼロ」になる。ただし、規制委が今回の破砕帯調査のような中途半端な形で再稼働審査を進める限り、再びゼロではなくなる日も遠くないだろう。      
 

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