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2013年 8月29日

    「遺骨を早く家族の元へ」
朝鮮人戦争犠牲者を追悼

政府の返還交渉進展せず

 第二次世界大戦で犠牲になった朝鮮半島出身者の遺骨700体が仮安置されている東京都目黒区の祐天寺で8月24日、25回目の追悼会が開かれた。その多くが植民地時代に日本へ強制連行された人たちだ。

 追悼会は、68年前に500人を超える朝鮮人労働者が亡くなった「浮島丸事件(用語解説を参照)」の日に合わせて毎年催され、今年は区内在住の住民ら約30人が参列した。

 世話人を務める金昌鎮(キム・チャンジン)さんは、「25年も続くことになるとは思っていなかった」と述べ、遺骨返還が進まない現状に遺憾の意を表した。その上で、「関係各国の誠意とやる気の問題。一日でも早く遺骨があるべき場所に戻ることを願っている」と語った。

▼北朝鮮への返還ゼロ

 旧厚生省から祐天寺に朝鮮人戦争犠牲者の遺骨約2300体が納められたのは、1971年のこと。駅から近く参拝に便利で、納骨堂を改修したばかりだったことなどが理由だった。

 その後、遺骨は日韓政府間交渉などで2010年までに1600体以上が返還されたが、現在の北朝鮮籍になる犠牲者の遺骨(425体)は一度も返還されていない。

 韓国籍で残る275体の遺骨は、全て浮島丸事件の犠牲者だ。同事件の遺骨は、損害賠償や謝罪などを求める訴訟が日本で提訴されたため、他の遺骨とは別扱いにされたのだ。

▼外交の道具にするな

 2010年以来、遺骨の返還が進展しないことについて、追悼会の世話人の一人、小林喜平さんは「遺骨返還を時の政府が外交交渉のタネにしている」と憤る。遺骨を祖国やその遺族の元に返すのは、当然の人道的行為のはず。ところが、「(日本政府は返還問題を持ち出せば)戦争賠償や謝罪、拉致問題などの交渉が不利になると考えているようだ」(小林さん)。

 追悼会に10回以上参加しているという男性(72)も「政府は責任を果たしていない。それどころか、アジア諸国との関係を悪化させ、自分たちで障害をつくり出している」と批判した。

 小林さんは、「私たちが住む目黒区にある限り、遺骨は大事にしていく。しかし、一日でも早く故郷の家族の元に返してあげたい」と願っている。

 祐天寺の納骨堂は17年まで改修工事中で、朝鮮人犠牲者の遺骨参拝ができなくなっている。小林さんたちは厚労省に対し、対応を検討するよう申し入れている。

浮島丸事件」

 1945年8月24日、青森県下北地方で強制労働をさせられていた朝鮮人やその家族ら約3700人を釜山に帰還させるため、出港した浮島丸が京都府舞鶴湾内で突然爆発し、沈没した事件。死者は日本人乗組員25人を含む549人。沈没の原因について、日本政府は米軍敷設の機雷への接触と発表。船体は1954年に引き揚げられたが十分な調査はされていない。       

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