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2013年 7月11日

    ヘイトスピーチに悩む商店
高まる排外デモ規制の声 

商店の経営にも影響が

 コリアンタウンである東京・新大久保の商店が、死活問題にさらされている。月数回の頻度で行われる排外デモで叫ばれる「朝鮮人をたたき出せ」などのヘイトスピーチ(憎悪表現)が、営業妨害になっているからだ。

▼「売り上げ3割減った」

 新大久保の商店経営者の多くは、在日韓国・朝鮮人2世、3世や、最近日本で暮らすようになった韓国人たち。5年前に来日して焼き肉店を営む韓国人男性(46)によると、昨年8月の李明博(イ・ミョンバク)前大統領による竹島(独島)上陸後、書き入れ時の日曜日を中心にデモが盛んになったという。

 「過激なデモに恐怖を感じ、お客さんの足は遠のくばかり。昨年の同じ時期と比べて、売り上げは2~3割減ったよ」(男性)

▼法規制求める声

 こうした状況をみかねて、ヘイトスピーチの規制を求める動きが出始めている。

 今年3月からは、市民グループの「差別的デモ・街宣に抗議する会」が、新大久保周辺で規制を求める署名運動を開始。6月20日には、1万2512筆の署名を東京都公安委員会へ提出した。グループ発起人で在日韓国人3世の金展克(のぶかつ)さんは、「署名の効果もあってか、6月30日の排外デモは新大久保の中心部を外れるコースへ変更された」とみている。

 一部の識者からは「諸外国のようにヘイトスピーチを法律で規制すべきだ」との主張も聞かれる。ドイツや英国、フランスは「人間の尊厳を侵す行為」とみなして法律で禁止しているが、日本には法規制がなく事実上野放し状態だからだ。

 これに対し、「その他のデモにまで規制が及び、表現の自由が侵される」として、反対する声も根強い。戦前の厳しいデモ弾圧が、日本の戦争突入の一因となった反省を踏まえた意見だ。

▼「必要なのは相互理解」

 法規制でヘイトスピーチは抑えられても、むしろ差別が潜在化し、問題の根が一層深まる事態になることを心配する向きもある。

 「法律で規制したところで、本質は何も変わりません。差別や偏見は、お互いを知らないことから生まれます」

 こう話すのは、日韓両国民の交流を目的としたインターネット番組を放送している張倫慶(チャン・ユンギョン)さん(25)だ。ソウル在住の張さんは、留学を通してより日本が好きになり、昨秋から両国の習わしや流行を紹介する番組を始めた。市民レベルで交流を図っていけば、民族の壁を越えた相互理解につながると信じている。

 今のところ、日本政府は法規制には慎重姿勢だ。国連の人種差別撤廃条約を1995年に批准した一方で、条約が求める人種差別への処罰義務については、表現の自由に配慮して保留している。(連合通信)  
                  

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