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2013年10月 8日

   「東京五輪に大義なし」
言抄・スポーツジャーナリスト 谷口源太郎さん

メディアの翼賛的な姿勢に恐怖

 2020年の夏季五輪・パラリンピックが東京で開催されることに決まり、メディアは歓迎ムード一色ですが、東京が選ばれたことに私は疑問を感じています。

 その理由の一つは、東京で五輪を開催する大義名分がないということです。「平和な社会の推進」をうたう五輪憲章の精神に照らせば、東西の架け橋を強調したイスタンブールが選ばれて当然でした。イスラム圏初の開催となれば、中東和平への貢献も期待できたはずです。

 もう一つは、東京電力福島第一原発事故による汚染水漏れの問題です。福島第一原発では、毎日約400トンの汚染水が発生し、一部が外海に流出する深刻な事態に陥っています。

 それにもかかわらず、五輪招致の最終プレゼンテーションで安倍首相が「状況はコントロールされている」「汚染水の影響は、原発の港湾内0・3平方キロメートルの範囲内で完全にブロックされている」と虚偽の発言をしました。これには、海外からも疑問の声が上がっていて、日本の国際的な信用を低下させる事態を招いています。

 欧州各国の選手団は、チェルノブイリ原発事故によって放射能汚染に敏感です。もし、安倍発言が虚偽であることを知ったら、東京五輪をボイコットするかもしれません。ところが、日本のメディアの多くは安倍発言を批判しませんでした。それどころかこのスピーチが東京開催を決定付けたとして、歓迎する報道さえされています。こうしたメディアの翼賛的な姿勢には恐怖を感じます。

 これから五輪を名目とした巨大なハコモノ建設や道路整備などの公共事業がめじろ押しとなりそうですが、現在のメディアに税金の無駄遣いをチェックする機能は期待できません。公共事業をやりたい放題にさせないためにも国民が国や地方行政の動きに厳しく目を光らせていく必要があります。(連合通信)
 

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