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2013年 1月 8日

美しい沖縄の自然守りたい 
フォトグラファー 山本英夫さん

絵はがきで基地問題を問いかける

 沖縄の自然を絵ハガキにすることで基地問題を伝えよう――。こう思ったのは、子どもの頃のある記憶が影響したためかもしれません。高度経済成長期の大開発で東京周辺の風景が一変するのを目の当たりにした体験です。

 かつて広大な干潟のあった京葉地域は野鳥の楽園でした。千葉県は企業誘致を目的に干潟を埋め立てるため、漁業権放棄をせまって漁民に保証金をばらまいた。本来豊かな海に必要な干潟を守るべき漁民に野鳥を殺せときた。2004年に始まる辺野古への新基地建設では、防衛局が基地建設のために反対運動をしていた地元漁民をお金でつぶそうとした。この転倒した構図は全く変わっていません。

 基地ができれば失われてしまう美しい自然の撮影を続け、今年は年間の3分の1を沖縄で過ごしました。

 サンゴ礁のリーフが広がり、ジュゴンが生息する辺野古の海を埋め立ててまでなぜ基地を建設するのか。この現実を「本土」の人々にも理解してもらい、運動へつなげたいと写真展を開き、絵ハガキも3集制作しました。ハガキとして使うだけでなく写真フレームに入れて部屋に飾れば常に沖縄を意識してもらうツールにもなると思います。

 また、陸上自衛隊の沿岸監視部隊を与那国島に駐屯させようとしている計画を知り、2011年から与那国島の撮影を始めました。政府が辺野古にこだわり、与那国に自衛隊移駐をはかるのは、根底に日米安保条約があり、米軍と常に近くで訓練を重ね、自衛隊の戦闘力を強化したいとの防衛族の思惑があるからでしょう。

 与那国島の絵ハガキは現地で想像以上に支持され、民宿でも販売させてもらっています。牧場でたわむれる馬、与那国らしい田畑など、当たり前の風景を基地問題と重ねているからこそ喜ばれたのかもしれません。私は、写真は人と人を結びつける力があるはずだと考えています。これからも一層努力していきたいと思います。

 やまもと・ひでお 1951年東京生まれ。1989年から自然・報道の両面から沖縄を取材し続けている。                                     

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