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2013年 7月27日

    安倍政権の「悪政」拍車へ
参院選で自公が過半数以上確保

憲法改悪、原発再稼働など国民との矛盾

 参院選の結果、自民・公明の与党が衆参両院で過半数を得た。安倍政権は重要政策課題を思うように進めやすくなり、「悪政」に拍車がかかりそうだ。

▼改憲の動き加速も

 安倍首相は参院選の開票結果を受け、「改憲は国民投票で過半数を得る必要がある。腰を据えて取り組む」と述べたが、早期に衆参各院の3分の2で発議可能とする96条の規定を2分の1に下げたい意向だ。自民は国防軍創設などの9条改憲をうたう草案を発表。衆院では、既に改憲に賛成する日本維新の会、みんなの党と合わせた議席は3分の2を超えている。

 参院選の結果、3党は非改選分を足しても3分の2に及ばなかったが、改憲そのものは否定していない公明を含めれば上回る。さらに、昨年末の衆院選に続いて惨敗した民主党の動向次第では、改憲の動きが加速する可能性がある。民主は96条改憲反対で参院選を戦ったが、改憲を志向する議員も少なくない。惨敗によって党の求心力が保てなければ、一部の議員が「補完勢力」になる展開もあり得る。

▼靖国参拝で外交悪影響

 首相は、尖閣諸島や竹島で続く中国や韓国との領有権問題について「領土を守り抜く」と強硬姿勢。過去の戦争を侵略と認めず、従軍「慰安婦」の強制連行もないとする持論を隠さないため、中韓との関係は最悪の状態にある。焦点は、終戦記念日の8月15日にA級戦犯をまつる靖国神社へ参拝するかどうか。参拝すれば、中韓関係は収拾が付かなくなる危険がある。

 米国との同盟強化は進みそうだ。政権は、沖縄の普天間基地問題で米国と合意した名護市辺野古沖への移設計画を推し進めている。米軍が日本中で計画するオスプレイ飛行訓練の実施も容認するとみられる。

▼消費増税で景気悪化も

 首相は、円安誘導や金融緩和で景気を良くするという「アベノミクス」の成果を訴えてきたが、現実は食料や燃料が値上がりし、国民負担は増している。

 来年4月には、税率を8%へ引き上げる消費増税が待っている。政権は4―6月のGDP(国内総生産)などを元に、10月にも最終判断するが、増税は個人消費を冷え込ませて景気を悪化させかねない。経済政策のブレーンからも慎重意見が出る中、首相が増税に踏み切れば、所得増を掲げるアベノミクスはウソとみなされるだろう。

▼労働者守らない政策

 政権は6月の「骨太の方針」で、派遣社員の増加につながる労働者派遣法「改正」や、正社員よりも解雇しやすくなる限定正社員の導入を盛り込んだ。これを受け、8月中にも労働政策審議会で議論が始まる見通し。議論は政労使で進むが、経営側が政権の意を得て「改正」を迫りそうだ。

 8月には、社会保障制度改革国民会議が報告書を示し、年金支給開始年齢の延長や、70~74歳の医療費窓口負担を1割から2割への引き上げが明記される見込み。政権は秋の臨時国会で、親族扶養強化などを柱とする生活保護法「改正」案も提出する構えだ。

 交渉参加中のTPP(環太平洋経済連携協定)も、締結国に関税撤廃や規制緩和を約束させる内容。医療保険制度や農業の崩壊はおろか、国民を守る労働法も変えられる心配がある。

▼原発再稼働に前向き

 首相は、選挙期間中こそ言及を避けたが、民主党政権が決めた「2030年代の原発ゼロ」の転換を表明し、再稼働に前向きだ。

 原子力規制委員会は、電力4社が再稼働申請した12基の審査を始め、年内にもいずれかの炉を「安全」と判断する可能性がある。政権方針は「再稼働について地元理解が得られるよう最大限努力する」。福島原発事故では、広範囲に放射能汚染が及んだが、政府の「地元」は立地自治体にとどまりそうだ。再稼働すれば、核兵器の原料のプルトニウムを含む「核のゴミ」が増えるが、政権は実現の見通しが全く付かない核燃料サイクル計画の継続を掲げるだけで、解決策を示していない。
                  

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