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2013年 6月20日

協同組合への発注で搾取なし
問題だらけの福島除染労働(番外編)

二本松市の建設業者の取り組み  

 福島県二本松市で、ゼネコンによる中間搾取(ピンはね)も「手抜き」もない除染事業が進む。地元建設業者が「二本松市復興支援事業協同組合」を設立し、市内約2万世帯の「全戸除染」事業を一手に請け負う取り組みだ。市が地元業者に優先発注することで、住民に安心感を与えている。同組合の安斎一男専務理事に聞いた。

 昨年6月に結成された同組合には161社(6月6日現在)が加入している。

▼予算が市外に流れない

 ――協同組合を結成した目的は?

 「二本松の安心安全は自らの手で取り戻す」「地元の仕事は地元業者に」との思いで設立にこぎ着けた。昨年は国際協同組合年。首長の理解があって、実現したものだ。

 大手ゼネコンに仕事を出せば、地元業者は3次、4次の下請けに回らされ、市が発注する額の3割を抜かれて仕事をしなければならない。

 協同組合で受注すれば、組合員である地元業者は、労災保険料や除染保険料、組合を運営するための実費を収めるだけで、後は全て収入となる。

 国から委託された除染事業の予算規模は大きい。昨年度の公共事業の年間予算が約25億円(除染事業は除く)の二本松市で、国から委託された除染事業は約84億円(2012年度)。ゼネコンに委託すればその約3割が市外、県外に流れていたものが、流出せずに地域経済を循環していることになる。

 ――全て受注している?
 随意契約で全て受注している。除染の対象は、一般住宅から市営住宅、市道、県道、公園、公民館など。資材や測量なども地元業者を優先するために、資材納入、造園、足場を組むための仮設、測量の協同組合もつくり、復興支援事業協同組合から発注している。

 除染事業は建設業法の縛りはなく、自治体首長の裁量で発注先を決めることができる。ゼネコンを通さない発注は、首長の意思一つでできることだ。

▼住民に安心感与える

 ――そのほかに協同組合ならではの優位性は?

 地元の建設業者だから、住民に安心してもらえる。大阪や九州の言葉も通じない、こわもての建設業者だと、家を開けて出かけることもできないし、かかわりを恐れて家の中に閉じこもることにもなりかねない。

 顔見知りが多いので、住民が「ここも、そこも」と除染作業を頼みやすい。業者も自分の町や村を安全にしたいという思いは強い。二本松では、報じられているような「手抜き除染」は起こり得ないし、逆に住民からの要望で、事前の予定よりも余計に仕事をしなければならないくらいだ。(連載おわり)

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